予定納税基準額は、原則としてその年の5月15日現在で確定した前年分の所得税等の「申告納税額」と同額です。
 
ただし、山林所得、退職所得、譲渡所得、一時所得、雑所得といった一過性の所得が含まれる場合は、それらの所得を除く前年分の所得税額(分離課税の上場株式等に係る課税配当所得等に係る所得税額を含む)から源泉徴収税額を差し引いた金額と復興特別所得税額の合計が予定納税基準額となります(図表3)。
 

 
会社勤めなどの給与所得者は、基本的に源泉徴収と年末調整で税務申告が終わるため、予定納税の必要は生じません。ただし、所有不動産からの家賃収入や事業規模の副業がある場合などは、対象となる可能性があります。
 

事情により減額申請もできる

予定納税の趣旨は、一定水準以上の納税額を毎年払い続ける方への負荷分散にありますが、必ずしも翌年以降も税額が高いままとはかぎりません。体調不調のため途中で休業したので、所得が昨年よりも落ち込む……。そんな場合は、税務署に予定納税額の減額を申請できます。
 
想定される事情としては、廃業・休業・失業・災害・盗難・横領等があり、本年分の所得が前年より明らかに少なくなることが見込まれる場合です。
 
減額申請の締め切り日は例年7月15日と11月15日で、予定納税額の納付開始日(月初)から2週間ほどと期間が短いため、減額申請を検討する際は期日に遅れないようご留意ください。
 
なお、令和6年は定額減税による予定納税特別控除額として、図表2のとおり本人分の3万円を第1期の納付額から差し引きました。さらに、配偶者や扶養親族で定額減税対象となる方がいた場合、その1人3万円の定額減税分を、こちらは減額申請の対象として、追加で差し引くことができました。
 

前納でも義務です

国民年金保険料を納めている場合、割引メリットを受けるために前納を選択する方もいることでしょう。しかし、予定納税には割引などなく、また選択の対象でもありません。納付は義務です。怠ると、納付期限の翌日から延滞税がかかってしまいます。
 
納付額を計画的に準備する、あるいは所得額の見込みから減額申請するなど、対応を後回しにせず、先手を打っていくことが肝要です。
 

出典