厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ (平成29年7月診療分まで)」より筆者作成
2. 適用年収区分の細分化
現行の年収区分は5区分ですが、2026年8月からは13区分に細分化されます。それによって、さらに負担金額は上がる見込みです。中央値である年収約370万〜770万円の区分を例にあげると、現行の負担額は2027年8月には次のようになります。
・年収約370万円~510万円未満:8万100円→8万8200円(+8100:10%増)
・年収約510万円~650万円未満:8万100円→11万3400円に(+3万3300円:約40%増)
・年収約650万円~770万円未満:8万100円→13万8600円に(+5万8500円:約70%増)
上記のとおりに改正される場合、働き盛りの現役世代にとっても、けっこうな額の負担増といえるのではないでしょうか。
治療費の自己負担は重く…… 現役世代の対策は?
今回の見直し案は、がん患者団体等から抗議や不安の声を受け、多数回利用する方のための特例(年4回以上高額療養費を利用する場合)は据え置きとなりました。
しかし、万が一病気になったとき、仕事と治療を両立しなくてはならない現役世代として、不安を覚えた方もいるのではないでしょうか。
現役世代ができる対策方法
1. 民間の医療保険の見直し
まず自分が入っている医療保険やがん保険の補償内容が、適切なのか確認しましょう。
高額療養費の助成に入っていない差額ベッド代や食事代、先進医療費などは自己負担になります。また入院・通院で収入が減る恐れのある方も、貯蓄でまかなうのか、保険で補てんをするのか把握しておく必要があります。
そして、がんの心配が大きい方は、やはりがん保険に入っておくと治療費の不安はだいぶ軽減できるでしょう。
2. 医療費負担に備えた貯蓄
保険を増やすのはもったいないと考えている方は、もしもに備えて貯蓄を増額しておきましょう。月に5000円でも医療用に積み立てをして、解約しないようためておけば、気が付いたときには思いのほかたまっているかもしれません。
3.病気の早期発見
がんなどの病気の早期発見は、医療費の負担軽減にもつながります。定期的に、健康診断や人間ドックを受けましょう。
会社員の方は定期健診を受けられている方も多いと思われますが、ご家族の扶養に入っている方でも、各健康保険組合で健康診断を受けられる場合が多いです。また、国民健康保険の方でも市町村主催の健康診断もあります。面倒がらずに受診して、病気の早期発見につなげましょう。