厚生労働省の調査によると、「何歳まで働きたいか、または実際に働いていたか」という質問に対し、約4割の人が66歳以上と回答しており、老後も働く意識が高いことが分かります。
 
また、「厚生年金を受給する年齢になった際の働き方」については、44.4%の人が「年金額に影響が出ないよう、就業時間を調整しながら企業などで働く」と答えています。
 

老後の資金計画に対する考え方の実態

厚生労働省の調査による公的年金の位置づけについての考え方に関しては表2の通りでした。
 
表2

年金だけで生活する 26.3%
公的年金を軸にしつつ、個人年金や貯蓄などを組み合わせる 53.8%
公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える 11.7%
公的年金には全く頼らない 1.6%
考えたことがない 4.8%

※厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」老後の生活設計の中での公的年金の位置づけを基に筆者作成
 
「年金だけで生活する」と回答した人は26.3%にとどまり、大半の人は公的年金だけでは生活が厳しいと考えており、他の収入源と組み合わせる必要性を感じているようです。
 
老後の資金準備に関して、公的年金以外で備えたい、または既に備えている資産としては、「預貯金」が最も多く、それに続いて「退職金や企業年金」、さらに「NISAなどの少額投資非課税制度」を活用する割合が高い傾向が見られました。
 

まとめ

総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみで無職の世帯における1ヶ月の実収入は24万4580円、可処分所得は21万3042円でした。65歳以上の夫婦のみの無職世帯の1ヶ月の消費支出は25万959円で、支出が3万8000円程度上回っています。
 
さらに、非消費支出(税金や社会保険料など)が3万1538円 あるため、収入と支出のバランスを考えると、貯蓄や年金以外の収入がない場合は赤字になる可能性があることが分かります。
 
このように、老後の生活費は年金収入だけでは不足する可能性が高く、毎月の家計収支を把握しながら計画的な資産運用や働き方を考えることが重要です。貯蓄や投資を活用し、必要に応じて老後も働くことで、安定した生活を維持する工夫が求められます。
 

出典