「63歳で夫が死亡した妻」は
今回の「夫の死亡時に63歳だった専業主婦の妻」への給付について考えてみましょう。
この人は専業主婦ですから、遺族年金生活者支援給付金の所得要件は満たしていると思われます。しかし、年齢から考えると、遺族基礎年金の要件になるような年齢の子がいる人は少数派かもしれません。
子のない妻が65歳までに受けられるもの
遺族基礎年金を受給できない妻は、遺族年金生活者支援給付金も受給できません。しかし、中高齢寡婦加算の対象となることがあります。
「中高齢寡婦加算」とは、夫の死亡時に40歳以上65歳未満だった「子のない妻」の遺族厚生年金に加算されるものです。要件を満たす「子」のない妻は、遺族基礎年金が受給できないため、その補完的な給付とされています。中高齢寡婦加算の額は年61万2000円(2024年度)、月額にして5万1000円の加算になります。
65歳になると
中高齢寡婦加算は65歳になると受給できなくなりますが、その代わり妻は自身の老齢基礎年金を受けられるようになります。
そのとき年金を含めた所得が一定以下であれば、今度は「老齢年金生活者支援給付金」の対象になります。
まとめ
遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金の受給権者で所得が一定以下の人に支給されるものです。遺族年金生活者支援給付金の対象にならなかった人でも、65歳以降、老齢年金生活者支援給付金が受給できることがあります。こうした制度をよく知り、賢く受給しましょう。
出典
日本年金機構 遺族年金生活者支援給付金の概要
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士
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