贈与税を発生させないためには、年間110万円以内で奨学金の返還を支援する必要があります。基礎控除は1年区切りであるため、奨学金の返還を年間110万円以内で分割して支援すると、贈与税を支払わずに済むでしょう。
そのため、奨学金返還をサポートする際は、早いうちから計画を立てて毎年110万円以内に収める形で支払いを行うとよいかもしれません。
例えば、奨学金の返還額が300万円だとすると、一括で親が支払ってしまうと、基礎控除額を除いた190万円に対して贈与税が課せられてしまいます。毎年100万円ずつ支援すれば基礎控除額内で収まるため、贈与税は発生しません。
親も支払いが難しい場合は救済措置の利用を検討する
子どもが奨学金の返還に困っていたら助けたくなるものですが、親自身も経済的に厳しい状況であれば、奨学金返還の救済措置を検討しましょう。独立行政法人日本学生支援機構では、経済的に困難な状況や、失業、病気、災害などにより返還ができなくなった場合に利用できる救済措置が設けられています。
救済措置を利用すると、返還の猶予や減額などを通じて返還負担の軽減が可能です。返還が滞る前に、早めに機構へ相談し、状況に応じた対応をしてもらいましょう。
また、地方公共団体や地元企業が連携して、定められた要件を満たした場合に、地元企業に就職した人の奨学金返還を支援する仕組みが設けられている地域もあります。地域の制度を利用すれば、奨学金の返還負担がより軽減されるかもしれません。詳細は各地方自治体の公式サイトで確認し、自分に適用される支援があるかをチェックしましょう。
滞納すると延滞金が発生してさらに支払いが滞るおそれがある
奨学金の返還が滞り、返還期日に引き落としができなかった場合、延滞金が生じます。延滞金は、返還期日の翌日から返還が完了するまでの日数から計算され、滞納が長引けば増額していく仕組みです。
延滞金が発生すると、より返還負担が増え、返還が困難になってしまうでしょう。返還額が膨らむおそれがあるため、延滞をしてしまう前に親や機構へ相談することが大切です。