さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている昨今ですが、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は、体調を崩しやすく休みがちな女性のエピソードです。
今月休みを取ったら辞めてもらうと言われて…
私は体調を崩しやすい体質で、生理のときや気圧が低い時など、他の女性よりも重症化してしまうことも多く仕事を休む回数が多いです。もちろんその時にはなるべく迷惑がかからないように気を使っているつもりなのですが、最初は心配をしてくれていた社内の人間関係にも変化があり、今は風当たりがきつくなってきたように感じます。
飲み会があったとしても「どうせ休むから」と声をかけてくれなくなったり、私が参加しなければならないミーティングの予定を誰も教えてくれなかったり。さらには、上司に呼び出されて「今月休みを取ったら辞めてもらうからね」と告げられました。転職の当てもないので必死に出社をしていますが、無理が続いている状況です。
「体調管理も仕事のうち」と言われますが、いつも気を付けていますし、仕事をサボりたくて休んでいるわけでもありません。私のような身体が弱い人は社員になるべきではないのでしょうか?(ゆず/26歳/通信会社)
体調を崩しやすくても、クビにする理由にはならない!
ゆずさんは体調を崩しやすい体質であるからといって、社員たる地位を喪失する理由にはなりません。労働者性といって、労働契約法・労働基準法にさだめる労働者として認定されたのであれば、生理休暇を取得することは権利です。
ですから、生理のときや気圧が低い時など、他の女性よりも重症化してしまうことも多く仕事を休む回数が多いからといって、それがサボタージュなどに至っているような問題でなければ問題はありません。もちろん、これは法的な権利なので、主張の仕方によっては不和が生じてしまうと思いますので、なにか指摘をされた際に権利主張するのが良いでしょう。コミュニケーションの一環としての飲み会に参加させない、「どうせ休むから」と声をかけてくれなくないことは仲間外れを意味しますから、パワハラに該当する可能性があります。ほかにも、参加しなければならないミーティングの予定を誰も教えてくれなかったりするのは、明らかに、業務の合理性とはかけ離れた観点からの差別ですから、パワハラの可能性が極めて高いといわざるをえません。
先にも申しましたが、上司に呼び出されて「今月休みを取ったら辞めてもらうからね」と告げられた局面では、パワハラの成立、生理休暇の妨害などを主張してもよい局面だと考えられます。もちろん、「体調管理も仕事のうち」かもしれませんが、それとは別で、パワハラ的に労働者の権利を侵害することは許されません