飲食店で提供される「まかない」と「食事補助」は、実は異なる制度です。「食事補助」は従業員が働く店舗の通常メニューや特別なメニューを、割引価格で食べられる制度です。チェーン店やフランチャイズでは、このような食事補助が一般的で、従業員が気になるメニューを安価で楽しめます。
 
一方、「まかない」は通常、従業員専用の食事として、店舗で提供されるメニューとは別の、簡素な料理や特別メニューのことを指します。多くの飲食店では、このまかないが無料で提供されることも多いのですが、店舗によっては割引価格で提供される場合もあるようです。まかないは、あくまで従業員が食べるために用意された料理であり、必ずしもお客さまと同じメニューが食べられるわけではありません。
 

無料のまかないは税務上違法にあたる可能性がある

まかないが無料で提供されると、一見すると余った食材や具材を利用しているだけのため、税金は発生しないと思われがちです。しかし実際には、まかないは税務上「現物給与」として扱われ、課税対象になります。現物給与とは、給与を金銭以外で提供する形で支給されるものです。
 
通常、給料は所得税から天引きされますが、物品で支払う場合、その分税金を納める必要が出てきます。もし無料のまかないが現物給与とみなされ、税金が適切に支払われていなければ、税務調査で指摘され、不納付加算税を支払う必要が生じます。
 
国税庁によると、食事を提供する際には、以下の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されないとされています。

・役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
 
・(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)が1ヶ月あたり3500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること

したがって、無料のまかないは必ずしも当たり前とはいえず、法的な観点からは適切に税金を支払うべきものだと理解することが重要です。
 

無料のまかないは当たり前ではない