「20枚以上」の硬貨を使って会計をすると「拒否」されることがあると聞きました。これってどういうことですか?
買い物や支払いの際に硬貨を大量に使うと、店舗に断られることがあると聞いたことはないでしょうか。実は、日本には硬貨の使用枚数に関する法律があります。   本記事では、硬貨での支払いに関する法律や店舗側の対応基準を解説します。また、大量硬貨の会計が拒否される理由と対処法を紹介します。

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硬貨での支払いに関する法律の概要

硬貨での支払いについては、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(通貨法)」によって規定されています。
 
通貨法の第7条には「同一額面の硬貨は額面価格の20倍まで、すなわち20枚までが法的に通用する」と定められており、硬貨の大量使用による事務処理の負担を軽減し、現場の混乱を避けることを目的としています。
 
この規定により、21枚以上の硬貨を使った支払いについては、店舗側が受け取りを拒否することができます。ただし、この制限は硬貨のみが対象であり、紙幣には適用されません。また、消費者が硬貨で支払おうとする金額が法定の範囲内である場合、店舗側はこれを受け取る義務があります。
 
なお、公共料金や税金の支払いなど一部の公的機関では、例外的に大量の硬貨が受け入れられる場合があります。しかし、一般的な取引では20枚以上の硬貨を使用する際には注意が必要です。
 

店舗側の対応基準とその理由

店舗側は通貨法第7条を根拠に、硬貨の受け取りについて20枚以上の硬貨による支払いを拒否できます。このルールは、店舗が大量の硬貨を数える負担を軽減し、レジ処理の効率を維持するために存在します。また、ほかの顧客へのサービスに支障をきたさないようにするためにも重要です。
 
例えば、混雑するスーパーやコンビニエンスストアでは、21枚以上の硬貨を受け取って計算することが業務の大きな負担となります。さらに、大量の硬貨は保管スペースを圧迫し、銀行への入金作業にも影響を与える可能性があります。このような理由から、店舗側が硬貨の受け取りを拒否しても、法的には正当な対応となります。
 
ただし、20枚以下の硬貨であれば、店舗側はこれを受け取らなければなりません。そのため、支払時には硬貨が20枚以内になるように工夫することが重要です。また、事前に店舗へ相談し、柔軟な対応をお願いすることも円滑な取引につながります。
 

20枚以上の硬貨での支払いが拒否される理由