悩みに直面することは誰にでもあると思います。そんなとき、あなたは誰に相談をしますか?今はSNSで顔の見えない不特定多数の相手に向けて自分の悩みを発信することも可能です。しかし、本当の意味で寄り添って話を聞いてくれる人というのは案外少ないかも。そんなときに足を運びたいのが「寺カフェ 代官山」です。お寺のお坊さんたちが私たちの悩み相談に乗ってくれます。一体どんなカフェなのでしょう!
見た目は誰でも入りやすい普通のカフェ
「寺カフェ 代官山」があるのは、お洒落なレストランや雑貨店が立ち並ぶ代官山エリア。代官山駅から2分ほど歩くと、寺院のように五色幕のかかったお店が見えてきました。きっとここで間違いないはず。入口には普通のカフェと同じようにメニューの看板があり、思っていたよりも入りやすい雰囲気です。
人々がくつろげるお寺を現代に合った形で実現
今回お話を聞かせてくださったのは、浄土真宗の僧侶である三浦性曉さん。川崎市の信行寺にお勤めをしながら「寺カフェ 代官山」でも活動しているのだとか。カフェには三浦さんを含む10人の僧侶が在籍し、交代でお客さんの悩み相談を受けたりイベントに参加したりしているそうです。
──お坊さんと対面して話をするのは初めてなので少し緊張しています。よろしくお願いします。
三浦性曉さん(以下、三浦) :あはは、そうですよね、でも私の方が緊張しています(笑)。最初にお伝えしたいのですが、浄土真宗の僧侶はほかの宗派とは少し違い「普通の人間である」ということをぜひ知っておいてください。
我々は特別な修行を耐え抜いてここにいるわけではありませんし、欲も怒りも抱えながら生きています。みなさんと同じ普通の人間なので、同じ目線でお話をします。お釈迦様の教えに則ってお悩みを解決するヒントを与えることはできますが、私たちが答えを持っているわけではないのです。一緒に悩みましょうというスタンスです。
──お話しやすくて安心しました(笑)。なぜ代官山に寺カフェが?お寺やお坊さんって、遠い存在だと思っていたので。
三浦 :江戸時代くらいまで、お寺は人々の暮らしの中に根付いていたのですが、時代の流れと共に敷居の高い場所になってしまいました。仏教で「安息の場」を意味する「ビハーラ」という言葉があるのですが、もともとお寺は人々が安らぐことができる場所だったのです。
人々が草原に集まれば僧侶が話をし、喉が渇いた人がいたらお茶を用意する。この「寺カフェ 代官山」は仏教の原点回帰の場所なんです。もともとあったビハーラを、時代に合った形で作り上げたというわけです。
カフェという名前がついていますが、私たちはこの場所も人々がくつろげるお寺だと思って活動しています。
仕事の悩みや恋愛の愚痴、なんでも聞きます
「寺カフェ 代官山」では、お坊さんと1対1で相談ができる「お坊さんと語ろう」や1時間ほどで作ることができる「腕輪念珠作り」、手ぶらで参加できる「はじめての写経」など、仏教に関する講座を気軽に体験することができます。
毎月末には「坊主BAR」が開催され、参加者がざっくばらんにお坊さんと交流することができるのだとか。
──「寺カフェ 代官山」にはどんな方が来るのですか?
三浦 :老若男女、色々な方がいらっしゃいますよ。代官山という立地もあって、ビジネスパーソンがランチしに来たり、海外の方が訪れたりすることもあります。悩み相談は月に40~50件ほどお受けしていますね。
──三浦さんたちに相談する方は、どんな悩みを抱えているのでしょう?
三浦 :主に人間関係の悩みが多いですね。職場の人間関係や転職、恋愛から親子関係まで様々です。こういった愚痴は、他人に何度も話すと疎まれてしまうかもしれませんが、私たちは同じ悩みであっても何度でも聞きますから安心してください。
前に進んだ話も、なかなか進まない話も、ここで話すことによって何か気づきを得て帰っていただけたらと思います。