◆岩ちゃんキャラを心底楽しむØMIの遊び心
例えば「間」について。これはØMIが「肩の力が抜けた感じ」と言うように、13年間の芸歴で養い、磨きあげてきた技芸だ。
あるいは「まだまだ売れたい!」と発言する岩田に「めちゃめちゃ感動する」とも。芸能界の頂点に君臨する今でも保守的にはならない姿勢が根底にある。
岩田の上昇志向は、グループを鼓舞するための「内部から内部への刺激」であり、正解のない表現活動のあくなき模索としてある。『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(2022年)のインタビューで岩田を目の前にしたときにも感じたが、とても哲学的な個性を持っている人だ。
芸術も哲学も回答はない。そして人生も。この対談は、グループ活動のひとつの回答でありながら、同時に次なる回答を見つけるための過程なのだ。グループでは最年少にして末っ子の岩田だが、「グループが成熟しているからこそできる挑戦や自由を謳歌していけたら」とメロウ(成熟)に意気込む。
こうしたザ・岩ちゃんキャラをØMIは心底楽しんでいるように見える。哲学的な岩田に対して、ØMIは遊び心を持った粋な人。ふたりの洗練が目に見えるかたちで映されたこの対談冊子は永久保存版だ。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu