▼ハンズフリー通話での運転は「違反」になる? ペナルティが発生する場合についても解説
歩行者優先のルール
横断歩道では、原則として歩行者を優先しなければなりません。道路交通法第38条では、横断歩道に接近する車両は次のルールを守ることが定められています。
●横断歩道を通過する際、進路の前方に歩行者がいる場合、すぐに停止できるよう速度を落として進む
●歩行者が横断しようとしている場合は車両は停止して歩行者を優先する
●歩行者が明らかにいない場合のみ、停止せず通行できる
つまり、歩行者が渡る意思を示したときには、車は一時的に停車する義務があるのです。これを守らないと「横断歩行者等妨害等違反」となり、違反点数2点、普通車の場合で反則金9000円が科されます。
歩行者が「どうぞ」と譲った場合でも違反になるの?
信号のない横断歩道で、歩行者が「お先にどうぞ」と合図をすることがあります。車を進めても問題なさそうですが、違反となる場合があります。実際の事例をもとに、この問題を考えてみましょう。
2022年6月、都内で、あるドライバーが横断歩道に差し掛かりました。右側に歩行者がいたので一時停止し、歩行者を渡らせました。まもなく左側からもう一人の歩行者が現れましたが、手をひらひらとさせて「お先にどうぞ」と合図されました。
ドライバーは安全確認を行ったうえで車を進めましたが、その後すぐに警察官に「歩行者妨害」の違反切符を切られてしまったのです。「譲られたから進んだ」と説明しても、警察官は「歩行者がいる以上進むのは違反」と説明するのみで、反則金9000円と違反点数2点が科されました。
ただ結果的に、この事例ではドライブレコーダーがあったため、弁護士が抗議を行い、違反は撤回されました。ドライバーが一時停止をし、歩行者の合図を確認して進行したことが証明されたからです。
しかし、もしドライブレコーダーがなかった場合、違反が撤回されなかった可能性もありますし、そもそも当初はドライブレコーダーでの確認も断られているのです。また、道を譲ってくれた人とは別の歩行者が突然現れることも考えられます。たとえ譲られたとしても、まずは歩行者を優先するのが安全といえるでしょう。