◆ひどい毒親の話を聞いて、思わず協力してあげた

「聞けば、彼女の実家の親はそうとうな毒親でした。まったく働いていないらしく、帰省すれば数十万単位の金をせびられ、さらに完全に財産目当てで50歳過ぎの独身男との見合いを勧めてきたり、近所や親せきの女の子が結婚しただの、子どもを生んだだのを引き合いに出して『おまえはダメな人間だ』などの罵声を浴びせるんだそうです」

毒親
 実家には帰りたくない。でも、友達もいないから帰らない理由も作れない。以前「今年は友達と東京で過ごす」と言ったら「嘘をつくな」と言われ、友人と遊んでいる証拠を見せろとまで詰められたそうです。

 実家は北陸だそうですが、あまりにも帰るのが嫌で、気づけば全く違う方に向かうこの新幹線に乗っていたのだとか。彼女のことがすっかり可哀想になってしまったW美さん。真剣に彼女の話を聞きながら、とりあえずの打開策を提案しました。

「1週間は実家にいる予定だったので、服はかなりの量を持っていたんです。なので、服装を変えつつメイクも色々バリエーションを作って、髪型は帽子やアレンジでごまかして、大量の『友達と一緒にいる』写真をねつ造してあげました」

◆毒親と関係を断つ決意をした彼女

自立
 これでしばらくは実家に帰らない理由付けができると、女の子は大喜び。

 しかし、根本的な解決にはならないだろうと踏んだW美さんは、「友達を作れ」「せめて明るい表情でいろ」「親にこれ以上期待をするな」と懇々とさとして、連絡先の交換までして神戸駅で降りたそうです。

「あの子は福岡まで行くって言ってましたね。縁もゆかりもない土地だそうですけど、私と話をしているうちに決意ができたらしくて、そこで仕事も見つけて親から行方をくらまして一からやり直したいと言っていました」

 実はW美さんも毒親に苦しめられた経験を持つ子どもだったそう。現在は完全に没交渉となっており、地元である兵庫には仲の良かった同級生たちに会いに帰っているだけなのだとか。