咲村良子連載コラム第5回
「ヴィランの花道 ~咲き乱れ 散りゆくままに~」

 すっかりプロレスラーになった咲村良子です。

 怒涛のデビューから年末年始のビッグマッチを怪我なく無事乗り切りました。

 そして今、大阪-京都-名古屋の三連戦に挑むべくバスに揺られています。

 練習することもできず日々は進み、試合に追われて余裕のない状態が続く。デビュー前の緊張より自分の技術への信頼のなさを感じているというのが率直な今の気持ちではあります。

 だからって逃げたりしない。

 ここまで来てまた何もない、何もできない新人になった“咲村良子”。

 プロレスに丸裸にされたことで本当の自分を改めて感じていたりもします。

 ぶっちゃけ私の職業はグラドルでもアイドルでもなければ、社長でもプロレスラーでもありません。そんな大層な肩書きをいただけるほどのものはないんです。

 私の職業は咲村良子そのもの。それ以上でも以下でもない。

 プロレスという特殊な業界、狭い独特の世界を通して、原点に立ち返っている、そんな感じです。

 やっぱり私は私でしかなかった。

 おそらくプロレスラーとしてデビュー戦で見せた顔は観客の皆さんにとっては初めて見る咲村だったと思うけど、私にとっては馴染み深い自分がいただけでした。

 取材などでグラビアとプロレスのどっちを優先していくのか、とよく聞かれます。私にとってはどっちがどっちもないのよ。

 そこに区別はなく、自分がやると決めたこと、また求められることを仕事としてまっとうしていくだけです。

 お客さんがお金を払ってくれて、たくさんのスタッフや関係者がいて、私はお金を受け取る。それだけのこと。

 そのことに誇りを持って“咲村良子”をやってきたんですよ。

 プロレスも他も、私が培ってきた全力のプロ意識で望みます。やると言ったら腹を括る。

 この3日間、シングル三連戦。

 そうそうたる先輩方に食ってかかってやりますよ。