プロレスは私のためにあるんじゃないかって思える。楽しくリングの上を転がり、転がされる毎日で最高!

 もちろんしんどいのよ。息上がるし、筋肉痛いし、ぶつけて青あざだらけ。受け身下手すぎて膝ぶつけまくってたら一ヶ月くらい水溜まって腫れてたし。

 でもプロレスに限らず仕事は楽しいからって「楽(らく)」じゃないでしょ。なんなら楽しい程にしんどい、苦しい。でもそれが仕事のやり甲斐に繋がることはもう知ってる。

 だからこのままハッピーにプロレス界を登り詰める。私のベルトがもう見えてる。赤よりもっと綺麗な色のベルト。小さなお花畑は私のプロレス人生のチュートリアルになる。私が耕して黄金の花園の時代をつくる。

 プロレスで咲村良子は海を越えてやる! みとけ!

(文=咲村良子)

咲村良子マリーゴールド戦記I

2024年4月15日、日本の女子プロレス界に新たな団体が誕生した。それが「MARIGOLD(マリーゴールド)」である。

旗揚げを宣言したのは、現在の女子プロレス団体の盟主といえる「スターダム」の創業者であるロッシー小川氏。同年2月にスターダムから離れた彼が、「最後のチャレンジ」と仕掛けたのだ。

5月20日の旗揚げ戦は後楽園ホールで開催。マリーゴールド所属の選手のほか、元WWE所属で現在はフリーでリングを渡り歩くSareeeが参戦し、激しく華やかな全6試合で観客を熱狂させた。

咲村良子もまた、リングに熱い眼差しを向け、魂を震わせたひとりだった。

このときすでにマリーゴールドの練習生でもあった咲村は、セコンドとしてサポート役に徹しながらかつてないほど鋭い視線でリングを見つめていた。

それから咲村は、自ら身体を痛めつけるようにさらに練習に没頭。グラビアアイドルにとって最大の武器である身体つきを変形させながら、毎日のように限界を超えた。

二の腕が太く逞しくなり太ももがはち切れんばかりに膨れ上がり、持ち前の負けん気が沸騰しかけた11月、咲村はプロテストに合格した。