そして、離婚後初めて迎えた昨年の年末年始。智子さんにとって、毎年妹とその子どもたちに会えるのは大きな楽しみでした。結婚していた頃は、姪っ子たちとたまに会って遊ぶ程度だったため、今回は家に泊まりに来ることを心待ちにしていました。しかし――。
「実家で過ごす正月には問題が1つありました。実家は広いわけではなく、寝られる部屋が限られているんです。両親の部屋、私の部屋、そしてリビングがある程度で、妹夫婦や姪っ子たちが泊まるとなると、部屋がどうしても足りません。最初は私の部屋で姪っ子たちと一緒に寝ようと考えたのですが、母がこんな提案をしてきたんです」
「智子はホテルに泊まればいいじゃない?」
一瞬、耳を疑った智子さん。まさか、自分の家に帰ってきているのに追い出されるようなことを言われるとは!
「母の理屈はこうでした。『あなたは独り身で大人なんだから、ホテル泊くらい問題ないでしょう?』と。確かに、妹夫婦は子連れで何かと大変なのは理解できますし、私がホテルに泊まることで妹たちが快適に過ごせるなら、それが家族を思う行動なのかもしれません。でも、どうしてもモヤモヤする気持ちは消えませんでしたね……」
◆円安で海外旅行もできない
結局、智子さんは正月の間、近くのビジネスホテルに滞在することになりました。夜遅くまで実家でテレビを見たり、お酒を飲んで過ごした後、家族や姪っ子たちが寝るころになると、1人でホテルへ帰るという日々だったといいます。
「今年も妹の家族がやってくるので、またビジネスホテルを予約して1人で泊まるつもりです。正直なところ、いっそのこと1人で海外旅行にでも行って、優雅な時間を過ごしたいくらいです。でも、円安の影響でどこにも行けない状況です。元夫と別居していた頃に、1人でお正月を迎えたことがあったんですが、そのとき『二度とこんな寂しい思いはしたくない』と思いました。それで実家に戻れば家族と一緒に過ごせると思っていたのですが……まさか、こんな展開になるなんて想像もしていませんでした」