今回、34歳の木村の加入でかなり引き下がったとはいえ、それでも一味の平均年齢は「アラ還」である。

「作中のルフィは19歳で、一度死んで蘇ったブルックを除けば、麦わらの一味の平均年齢は25.4歳。ルフィと田中さんの“年齢差”はじつに50歳で、それでもギャップをまったく感じさせないのですから、そのスキルには恐れ入ります」(同サブカルライター)

 とはいえ、声優陣の高齢化はファンにとっても気になる問題だろう。

「『ドラえもん』(テレビ朝日系)は2005年に主要キャストが一気に交代しましたが、“違和感”がなくなるまでにはかなりの時間を要しました。今回の矢尾さんのケースは卒業セレモニーも用意されるなどファンとしても飲み込みやすかったと思いますが、それでも今さらルフィの声が田中さんから変わったら、さすがに視聴を離脱してしまう視聴者も出てきそうです」(アニメ誌編集者)

 もっとも、アニメ事情にも詳しい芸能ジャーナリストの平田昇二氏はこう語る。

「声優陣の途中交代は長寿アニメ作品の宿命とも言えます。『ドラえもん』もそうですし、『ルパン三世』も有名ですよね。ルパン役に関しては“初代”の山田康雄さんの急逝を受けて、以前からルパンのモノマネを得意にしていた栗田貫一さんが95年公開の劇場映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』から担当することになりました。当時は否定的な意見も一部ではありましたが、結果的には見事に後を引き継いでいます。また、次元大介役も50周年の節目に小林清志さんが高齢を理由に勇退。21年10月から放送された『PART6』から大塚明夫さんに継承されましたが、初回放送の第0話『EPISODE 0 ―時代―』での小林さんによる“最後の次元”と、第1話以降の大塚さんの“新たな次元”、どちらもファンの間では好意的に受け取られています。そもそも、最近では過去の名作アニメがリメイクされるケースも多く、その大半の作品では声優は以前に放送された時とは変わっているわけですが、それでも時代を超えて愛される作品もありますからね」