確かに、主人公のライオンが父親を亡くし、その後さまざまな困難を乗り越えて成長し、王の座を取り戻すという基本プロットは同じ。また、動物たちの群れや自然の中での冒険、家族や友情のテーマなど、いくつもの類似点が見られる。
さらに、『ジャングル大帝』の主人公・レオの名前はアメリカ版で「Kimba」と変更されていたが、『ライオン・キング』の主人公・シンバ(Simba)と名前が酷似。他にも、象徴的なシーンや構図の類似性も指摘され、偶然とは思えないとの声が上がった。
「最終的に、手塚治虫の遺族はディズニーを訴えないことを決めました。その理由は、手塚自身がウォルト・ディズニーに深い敬意を抱いていたこと。彼はディズニーの影響を受けて作品を生み出しており、『ジャングル大帝』もまたディズニー作品『バンビ』から着想を得ています。文化は模倣とインスピレーションの連続で成り立つものであり、“手塚が生きていれば、この事態を光栄に思っただろう”という手塚プロダクションの判断があったようです」(前出・サブカルライター)
『ライオン・キング』は、1997年にブロードウェイでミュージカル化もされ、日本でも劇団四季の上演が「観客動員数最多記録」となるなど、ストーリーの普遍性とキャラクターの魅力、そして音楽や映像美を通じ、世代を超えて進化を遂げている。
その影響は、日本のアニメ界や手塚治虫作品へのリスペクトとも深く結びついており、“文化の架け橋”としての役割を果たしているとも言えそうだ。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)