そんなとき、前方から車がやってきます。どう考えても、お互いが端まで寄らないとすれ違うのは難しい幅しかない道路。彩音さんは雪の壁スレスレまで寄ろうと考え、左側にハンドルを切りました。その瞬間、ズボッと車が雪にハマる感覚があったのです。

「はじめての経験でしたが、これはヤバイと思いました。すぐにバックや前進を試してみましたが、タイヤが空回りする音だけが聞こえるだけで、車はまったく動かなくなってしまったのです。吹雪のせいで、車はどんどん雪に埋もれていきます」

◆シャベルを車に積んでおくのが常識だったとは

シャベル
 前方からは、いつ車が来るかわからない状況。さっきまでは出ていたウォッシャー液も、噴射口が凍りついて出てくれません。パニックになった彩音さんは、携帯電話で近くの交番を探して電話。助けを求めます。

「事情を話すと警察官は、『シャベル、持ってないの?』と驚いた様子でした。雪の降る地域で育っていない私には、シャベルを車に積んでおくという知識はまったくなかったのです。警察官はすぐに来て、シャベルで救出してくれました」

 迷惑をかけたと反省していた彩音さんに、警察官は「雪が降る地域では、ウォッシャー液の噴射口が凍ってしまうこともよくあること。雪の予報が出ているときは、水筒にぬるま湯を入れて車に積んでおくといいよ」と親切に教えてくれたのです。

「あとから調べてみたところ、その地域は、一部が豪雪地帯に指定されていました。その地域へは何度も遊びに行ったことがあったので知ったつもりでいましたが、冬以外の季節だったため、それほど雪が降るとは思ってもいなかったのです」

◆雪道を走るなら、十分な備えを

天気予報
 ガソリンやスマホの充電も驚くほど減りが早く怖かったという彩音さんは、「寒い地域へ行くときは、アルミシートやホッカイロは人数分以上に必携です。あと、雪で視界がふさがれて追突される恐れもあるため、三角表示板などの携帯も必要だと思いました」とアドバイス。