このような法的根拠からも、過去に給与の過払いがあった場合、会社が次の給与で清算するという対応をすることは、違法にはあたりません。ただし、「前月分を次の月の給与で調整する」というように直近分の給与の調整ならまだしも、何年もさかのぼるような過去の過払い分を清算する場合は、法律違反になる可能性があります。
そもそも、会社が労働者の同意なく給与から過払い金額を控除することは禁止されています。所得税などの法律で定められているもの、組合費など書面により労使協定を締結しているもの以外は、会社が一方的に何らかの費用を差し引くことはできません。
給与の過払い分を返還する必要があるのは事実ですが、返還をさかのぼる期間や返還方法が適切ではないこともあるため注意しましょう。
困ったときは専門家に相談を
会社が過払い給与を調整すること自体は認められており、労働者は基本的に多く受け取った分を返還しなければなりません。ただし、法律に反していないのか、返還方法は適切なのかは、それぞれのケースによって異なります。
不安がある場合、支払時期や支払方法についてまずは会社に相談することをおすすめします。納得がいかない場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
厚生労働省 出雲労働基準監督署 シリーズ『賃金控除のNG4選』2
執筆者:山田麻耶
FP2級
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