現状の1人1台端末は、検索キーワードのフィルタリングが強く設定され、特定の内容は結果が表示されない場合がある。

有害な情報に触れさせないことは自殺予防の観点からも大切だが、「死にたい」といった感情の吐露ともいえる検索行動を制限されると、生徒は抱える悩みや感情を否定されているように感じる可能性がある。

また、SOSを早期に把握する1人1台端末向けツールは既にあるが、深刻な悩みに関するキーワードで検索をすると生徒の事前の同意なく学校に自動で通知が届くものや、検索結果を出ないようにするものがある。そのため、児童生徒が安心して利用することができない。

さらに、その多くが有償であり、予算を確保できる教育機関しか導入できず、地域差が生じるという課題がある。

そこで、SOSフィルターは無償であり、かつ検索した生徒個人を特定したり、学校に通知が届いたりといった設計はあえて行わないようにした。

検索内容によっては学校や児童相談所が介入すべきケースもある。ただ、1人1台端末で深刻な悩みに関する検索行動が行われており、多くが何らかの対処をされていない、また対処されている場合でも監視・制限的な対応をしている現状を考えることにした。

そこで、まずは「児童生徒が安心して利用でき、援助要請・セルフケアの能力を高められる無償ツールを全ての教育機関に提供したい」と、開発を決めた。

子どもが抱える問題について知りたい人は、SOSフィルターをチェックしてみよう。

SOSフィルター詳細:https://sos-filter.ova-japan.org

※ 学校・教育委員会以外でも利用できる「一般向け」版のインストール数が4万台弱あり、SOSフィルター全体では12月19日(木)時点で、10万8,378万台に活用されている。

(佐藤 ひより)