昨今ではテレビ局や新聞社、出版社など既存のメディアはまとめて“オールドメディア”と呼ばれ揶揄されるようになってしまった。最近ではスポーツ紙の「東京中日スポーツ」が来年1月31日付けで紙印刷を休止し2月1日から電子版へ全面移行、夕刊紙「夕刊フジ」は1月31日(2月1日付)の発行をもって、電子新聞を含めて休刊することをそれぞれ発表している。

 “オールドメディア”の苦境が叫ばれて久しいが、スポーツ紙の記者は明かす。

「それでもテレビ各局の社員は相変わらず高給ですし、部署異動はあるものの、地方への異動はほとんどないからね。他方、共同通信や時事通信、全国紙やスポーツ紙なんかは若いうちは地方の支局や通信局からキャリアをスタートさせるのが一般的。それが嫌で最近は20代で辞めてしまう者も多く、現場でバリバリと仕事をこなす若い有能な記者は不足傾向にあります。実際に今回の共同通信社の誤報の件も、政治関係の取材経験がほとんどない記者を現場に派遣したのが原因で、まさに人材不足のしわ寄せと言ってもいいでしょう」(スポーツ紙記者)

 メディア事情に詳しい芸能ジャーナリストの竹下光氏もこう語る。

「2021年にはインターネット広告費が新聞、雑誌、ラジオ、テレビのマスコミ4媒体の広告費を上回るなど、“オールドメディア”を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。業界が斜陽となり人気がなくなれば新たに入って来る人材の質も落ちるでしょうし、優秀な人材が他業種に移るのも自然の流れです。こうした問題は今後ますます顕在化するのではないでしょうか」

 “オールドメディア”が時代の流れに抗い復活を果たすことはできるのだろうか。

(取材・文=編集部)