老後に自宅を売却して新たな住まいに移ると、心理的な負担を大きく感じるケースもあります。長年住み慣れた土地から離れることに対する不安や、地域社会とのつながりが切れることから、孤独感をおぼえる可能性もあります。また、新しい場所での生活になじめず、外出する機会が減ったり、以前とは違って活発に過ごせなくなったりする可能性もゼロではありません。
 
さらに、転居先での生活が期待していたものにならなかった場合は元の場所に戻ることが難しいため、転居先は慎重に選ぶ必要があります。もし転居を検討する場合は、現状の住まいの近くで物件を探すことを考慮するとよいでしょう。
 
また、持ち家を売却してマンションなどに住み替えたいと考えても、高齢者は賃貸住宅の審査に通りにくい傾向があるため、選択肢が限られることがあります。収入が低かったり認知症のリスクがあったりする場合、入居の条件を満たすことが難しい可能性があるため、事前に入居先の選定や審査の条件を把握しておくことが大切です。
 

在職老齢年金制度の対象は給与や賞与

在職老齢年金制度の減額対象となるのは、給与や賞与といった労働所得に限られます。自宅の売却益はその範囲には含まれないため、売却して得たお金が年金額に影響を与えることはありません。
 
そのため、自宅売却を検討する際には、年金の支給額が減る心配は不要といえるでしょう。老後の生活をゆとりあるものにするためにも、資産の整理や住み替えを前向きに考えることが大切です。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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