◆サスペンスではなく、心の葛藤を描いたヒューマンドラマ
登場人物たち一人ひとりが丁寧に描かれており、演じる役者さんたちの演技の解像度が高かったことも、本作の魅力です。記者の在り方について悩み続けた楓(桜井ユキ)、愛生と愁人に暴力をふるってしまった父親・祥吾(向井理)の心の闇。そして、すべての事件は解決しハッピーエンドかと思われた第10話の最後に洸人が失踪。サスペンスではなく、兄弟の心の葛藤を丁寧に描いたヒューマンドラマだったと知らしめました。
筆者は完全にロス確定です。続編はないかもしれないけど、またこの兄弟に会いたい!
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他にも、夫婦が3000万円をネコババしたことからドツボにはまっていく『3000万』(NHK総合ほか)や、良作な医療ドラマシリーズになった『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)に、松下洸平の新たな一面が光った『放課後カルテ』(日本テレビ系)などなど、今期は良作が目白押しでした。1月の冬クールドラマ開始前に、観返したいと思います。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201