今回の相談者は「ペットと一緒に樹木葬に埋葬してほしい」というご希望を言っているだけの状態ですが、もうひとつ、必ず考えておくべきことがあります。
 
それは、「親の体が弱ったときにはどうするか」です。ペットが先に亡くなってしまって、そのまま親が認知症になってしまうこともあるでしょう。そうなってしまうと、ペットの火葬および骨つぼの保管など、子どもが請け負わなければなりません。
 
樹木葬をしたいという希望に加えて、「体が衰えたときにどうしたいのか」を親に聞いておきましょう。病院への入院や高齢者施設への施設入所には、ペットは連れていくことはできません。ペットホテルなど、お金で解決するのか、預けられる知人がいるかの確認はしておきたいものです。
 
もし親が入院などしている間にペットが亡くなってしまえば、ペットの火葬や埋葬まですべてを子どもがしなければなりませんから。
 

樹木葬にデメリットはあるのか

親の方がペットよりも先に亡くなるか、もしくはペットが先に亡くなるか、亡くなる順番が異なれば,樹木葬に至る道や手続きは異なりますが、全体的に樹木葬のほうが通常のお墓よりも費用や手間の面でメリットは多いと感じるでしょう。
 
ただ、まったくデメリットがないというわけではありません。親がペットより先に亡くなれば、親に代わって子どもが一定期間ペットを飼って、最後まで面倒を見てからということになります。しかし、高齢化社会の今、親よりも先に自分が認知症になったりして、親の希望をかなえられないケースもあるでしょう。
 
ペットが先に亡くなってしまうと、そのお骨も親が保管するのか、子どもが保管しておくのかなど決めておいても、家族の誰かが庭に埋めてしまったり、所在があいまいになってしまうこともあります。今回のご相談のケースでは、お墓に関して親の希望が聞けたわけですから、これを機会に、親とお金の話をしておきましょう。
 
親亡き後の、ペットの飼育費用、火葬や樹木葬のために支払う管理費用などは当然かかります。最近はネットでも費用が明確に描かれていることが多いですが、「30万円~」と「~」と書かれているのは、埋葬後13年経過後に合祀となるのか、20年経過後なのか、プレート料や個別埋葬の広さなど、さまざまな条件により加算されるからです。
 
樹木葬だから「費用が安い」「簡単」と思わず、樹木葬の管理者に費用や条件の詳細をしっかり聞くことをお勧めします。
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。