※図表1にある3. 配偶者手当に関わる壁については、勤め先の企業によっては配偶者手当の社内制度を設けていないケースもあるため、ここでは取り上げません。
 
まとめると、年収の壁は「税金」と「社会保険料」を納めるかどうかの基準であることが分かります。つまり、年収の壁によって働くかどうかを判断することは、「税金や社会保険料をそれぞれ納めるかどうか」も判断しているということになります。
 

年収の壁は誰にどのような影響があるかを整理しながら理解する

このような大きなくくりを認識したうえで、それぞれの年収の壁が、誰にどのような影響を及ぼすか、理解していきましょう。
 
登場人物は、「パートタイム労働者本人」と「パートタイム労働者の配偶者もしくは世帯」です。ここでは便宜上、前者を妻、後者を夫とします。それでは、先ほどの図表1を基に確認してみましょう。
 
例えば、年収103万円の壁の場合、パートで働く人(妻)は、年収が103万円を超えると所得税を納める必要があります(税制上の扶養から外れる)。一方、その配偶者(夫)は、自身に適用される所得税制において配偶者控除が適用されなくなり、配偶者特別控除の適用対象に切り替わります。
 
つまり、103万円の壁は1の「税金に関わる壁」であり、それを超えると、妻は「“税制”上、夫の扶養から外れ」、所得税を納めることになります。夫は配偶者特別控除の適用が受けられなくなり、夫の納める所得税は増えます。
 
これに対し、2の「社会保険に関わる壁」である「年収106万円の壁」の場合、妻の年収が106万円を超えると、妻は社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入する必要があります。これを「“社会保険”上、夫の扶養から外れる」といいます。一方、夫に対する手取りへの影響はありません。
 
繰り返しになりますが、それぞれの年収の壁がまず「税金」に関わることなのか、「社会保険料」に関わることなのかを認識したうえで、年収ごとに誰にどのような影響があるかを理解していきます。
 

まとめ