その点、石田を尊敬している髙比良くるまを擁する令和ロマンは、石田の目指す漫才に近いものを持っている。『答え合わせ』を読んだ印象で言えば、王道の良さを取り入れつつ進化している漫才を石田は好むように思う。

そういった意味で、石田が審査員にいることで王道と進化の両面性を持つ令和ロマンの2連覇はグッと近づいたような気もする。

◆審査が荒れそうな中、台風の目はダークホースの新人

その令和ロマンだが、2連覇が取り沙汰されていることで、審査が大荒れになる確率を上げている。予選を見る限りでは令和ロマンの仕上がりが高いだけに、審査員も警戒しているだろう。審査にもバイアスがかかる可能性は否定できない。

それだけに、得点付けは過去になく難しくなっている。大荒れになりそうだと推測するのだが、そうなると目新しく勢いのあるエバース、ジョックロック、バッテリィズに加え、敗者復活を勝ち上がる1組が有利になるのではないか?

中でも、メディアでの活躍や注目度が低いジョックロックが台風の目になると考える。どれだけ多彩なネタをジョックロックが用意できるかが問題になるが、臭い芝居と絶叫系のツッコミを繰り広げるコント漫才はパンチ力が高い。

ジョックロック(撮影:星亘)
ジョックロック(撮影/星亘)
また、ツッコミの福本ユウショウはファイナリスト記者会見で、自身の特徴的なツッコミポーズがCMに使いやすいと発言し、大暴れできるハートの強さを持っている。大会が荒れるほどに力を発揮できそうで、2連覇の令和ロマンに挑むダークホースのジョックロックという展開を見てみたい。

◆M-1グランプリ史上初の話題性のある大会に

さて、ここまで勝手に審査員を批評したが、これだけ話題性があるのは20回の歴史の中でも初。それだけに、優勝コンビだけでなく大会そのものがどんな盛り上がりを見せるか楽しみだ。