夫以外の子を産み、夫には知らせずに夫とともに育てていく「托卵(たくらん)」を描いたドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系、木曜よる10時~)。12月19日、ついに最終回を迎える話題の作品を、夫婦関係や不倫について著書多数の亀山早苗さんが読み解きます(以下、亀山さんの寄稿)。

◆当事者同士が話し合うこと、第三者にひきずられないことという教訓

木曜劇場『わたしの宝物』第9話より ©フジテレビ(以下同じ)
『わたしの宝物』第9話は、息づまる展開から始まった。以前参加したフリーマーケットについて話を聞きたいからと莉紗(さとうほなみ)の取材を受ける美羽(松本若菜)と、冬月(深澤辰哉)と対峙する宏樹(田中圭)。冬月を大切な人として美羽を糾弾したい莉紗、大切な人の夫から呼び出されて戸惑う冬月。二組のやりとりが交錯していく。

 それにしても莉紗の美羽への言葉はすさまじかった。

「あなたは結婚していて、夫も子どももいる。それなのに冬月と不倫した。私はあなたが許せません。冬月がどんな思いで苦しんできたか……」

「ふざけんな。何きれいごと言ってんの、気持ち悪い。薄汚いただの不倫でしょ。あなた恥ずかしくないんですか、子どもいるんですよね。みっともない、お子さんがかわいそう」

 ここまで言うか、第三者が、と思ったとき、美羽が反撃に出る。

「さっきから何をおっしゃってるんですか」

◆渾身の皮肉と嫌味を放つ美羽、コップの水をぶっかける莉紗

 そして美羽は、フリーマーケットに誘われただけだと述べ、「それがどうして不倫になるんですか」としらを切り通す。

「よっぽど好きなんですね、冬月さんのこと。嫉妬ですか」

「冬月さんとお話しになったらどうですか。大切な人なんでしょう。それができないからってつまらない嫉妬に私を巻き込まないで。みっともないと思わないんですか」

 あまり感情を表に出さなかった美羽の渾身の一撃である。相手の言葉を逆手にとっての皮肉と嫌味。それに対して、莉紗はコップの水を美羽の顔にぶっかける。