さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている昨今ですが、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は同期の恋愛に関するトラブルについてです。

Q.プロジェクトを降りないとSNSで悪口を言いふらすと言われて困っています…

同期が私を含めて3人います。そのうち男性は1人、女性は2人(内1人は私)という構成なのですが、同期の2人が付き合うことになりました。それでも基本的に仲が良いのは変わらず、仕事の相談を3人でしたり、飲みに行くこともありました。そんな中、私と男性側の同期が一緒のプロジェクトにつくことになったのです。

残された同期のうちの1人である彼女は、どうやらその事について快く思っていないようで、私に「このプロジェクトから降りて欲しい」と言ってきました。私が同期の男性のことを狙っていると、勘違いをしてしまったのかもしれません。けれど、実際にはまったく何もないし、プロジェクトも私が入社当初からやりたかったものなので、降りたくありません。それを伝えたら彼女は「降りなきゃ、SNSで浮気していると言いふらす」と脅してきました。私の会社はSNSを積極的に使っていこうという意向もあって、社外の人とも繋がっていることが多いので、マイナスなイメージは避けたい所です。このようなSNSを使った脅しについて、どのように対処をすれば良いのでしょうか?(えみり/26歳/人材派遣)

A.プロジェクトを降りるように言われる筋合いはなし

えみりさんの状況からすると、同期の2人が付き合ってしまうと、仕事の相談とはいえ気まずい雰囲気になってしまうこともあるでしょう。もちろん、一緒のプロジェクトは当然、職務として一緒に遂行していかなければならないことですが、それをもって同期の同性から、プロジェクトを降りるように言われる筋合いはないでしょう。

ただし、これは単なる正論です。正論というのは、人を傷つけてしまう局面があることは、弁護士として指摘しなければなりません。ましてや、「浮気しているといいふらす」などの脅迫的な申し入れは、法的には、支配可能である害悪の告知を伴っていますので、脅迫罪が成立し得る行為なのです。

大げさに聞こえるように感じるかも知れませんが、社内のSNS環境を知ったうえでの行為ですから、悪影響が生じるものですよね。対処法としては、えみりさんから、お酒の席かなにかことを荒立てずに済む場所で、仕事に対する姿勢ですとか、核心を突くような話以外の話からしてみるのはいかがでしょうか。もし、彼との関係を問われたら、きっぱり否定すればいいだけのことではないでしょうか。