塙のこの発言から6年。ルッキズムが問題視されるようになった時代背景もあり、容姿を自虐して笑いをとるフリートークのようなネタは減少傾向にあるように思う。だが、今度はネタに関する違った指摘が多く寄せられた。『THE W』は結果以外が話題を集めやすい賞レースと言えそうだ。

◆視聴者投票と審査員の「大きなズレ」に違和感

 また、審査に対する違和感も散見される。『THE W』では6人の芸人審査員(麒麟・川島明、アンガールズ・田中卓志、笑い飯・哲夫、マヂカルラブリー・野田クリスタル、さらば青春の光・森田哲矢、阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子)に加え、視聴者投票である「国民投票」によって勝敗が決まる。

 第1ステージでは、全12組がA、B、Cの3つのブロックに分かれ、各ブロックの4組の中から最終決勝に進出できる1組を決めていく。4組が順番にネタを披露し、2組ごとに「どちらのネタが面白かったのか」を審査員がジャッジする勝ち残り方式である。ただ、Aブロックでは視聴者票を獲得した、ぼる塾、やました、もじゃ、がいずれも敗退。その後も視聴者表と審査結果の乖離(かいり)は続き、第1ステージの投票トータル9回中、視聴者票を得た側が勝ち残ったのは、3回のみだった。

 そして迎えた最終決戦。忠犬立ハチ高に視聴者票が集まったものの、芸人の審査員は他の2組に投じていた。素人とプロ、テレビと会場では見方が大きく変わることは言うまでもない。しかし、ここまで解釈が異なると違和感を覚える視聴者が出てきてしまうのも無理もない。

◆視聴者からバッシングも。審査員の立ち回りの難しさ

 大会の目玉の一つとして視聴者投票を実施している中で、それと大きく異なる審査結果を出すのであれば、審査員の意見もしっかり聞かせてもらわなければ納得はできない。ネタの良かった点も聞きたいが、視聴者票を獲得した芸人を落とすのなら、悪かった点も明確に答えてもらいたい。ところが、『THE W』ではいずれの審査員も優しく、ネタを評価するコメントだけが目立つのだ。