あまりにも激しいゲリラ豪雨により飛行機の整備ができず、運航がことごとくストップするという非常事態が生じていたのでした。

◆スマホをなくし、足が震えた

空港
 いつ飛ぶのか? と係員の方に詰め寄る人の姿も。これは大変なことになったと、父に電話をしようとカバンを探ったところ……ない、ない! スマートフォンがない!!

 血の気が引くとはこのこと。なんでなんで! 座って落ち着いて探したいのに周囲の椅子はまったく空いていない……。

 仕事道具として何より大切なスマホがないという現実に、現場の混沌ぶりが拍車をかけ、足が震え始めました。

 日本国内だとお財布やスマホをなくしても無事に戻ってくる、それが日本の良いところだなんてよく聞きますが、これだけの人が行き交う空港でスマホを落とした場合……無事にかえってくるのか……。

 どうしようどうしようと泣きそうになりながらも、とりあえず、もと来た道を戻りながら探すことに。

 手荷物検査場ではスマホをトレーに載せた記憶があるので、検査場から搭乗口までのどこかで紛失したことになります。

◆お手洗いに戻ってみると……

 全身から変な汗を噴き出しながら小走りで地面をキョロキョロと凝視する私。思い出したのは、一度お手洗いに寄っていたという事実でした。

 しかしそれは既にだいぶ前のこと……一か八かで戻ってみた私。確か自分は一番奥の個室を使ったはず、と恐る恐る駆け寄り扉を開けたところ……。

 便器の背面の出っ張りに、私の携帯電話がちょこんと置かれているではありませんか! あれほど私の携帯電話が光り輝いて見えた瞬間はありません。

 まるで迷子になっていた家族と再会できたかのような勢いで、携帯を拾い上げ、ハグせんばかりに両手で握り締めた私。もうその場でくるくる回りながら、よくぞご無事で! と叫びたい位の衝動を抑えるのが大変でした。

 その場で父親に電話をかけ飛行機が遅れる旨を伝え、その後2時間遅れで札幌に帰った私でしたが、いやーしかし本当にあのときは生きた心地がしなかった。