◆気分転換に、香港への一人旅に出発

 そんなある日、電車の中で急に涙が止まらなくなってしまったという池永さん。「このままでは心が病む」と怖くなり、思いきって一週間の休暇を取り、気持ちをリセットするための海外旅行に行くことにしたとか。

香港
「ひとり海外は初なので遠出は怖く、しょぼいけど近場の香港に3泊4日で行ってきたのですが、やっぱり異国の風景やおいしい料理の力は偉大でテンションが上がり、久々に楽しい気分になって。でも、次の瞬間には『この景色、彼と見たかったな』『この味、彼も好きそうだな』とか考えてしまい涙が出てきて。結論としては、旅の間も精神は不安定でしたね(笑)」

 そんな旅の3日目、池永さんの体に異変が。昼食後に街をぶらぶらしている最中に寒気がし、ホテルに戻り風邪薬を飲んで横になったものの、どんどん体調が悪化していくのです。

「経験したことのないほどの悪寒がして、体中がガタガタと震えてきて。服を着こんでも布団をかぶっても悪寒は消えず、『このまま死ぬの?』と恐怖がわいてきました。病院に行こうかとも思いましたが、海外の病院は不安だし、そもそもしんどくて動けない。あまりに心細く、思わず元彼に電話をしてしまいました」

傷心旅行
 電話に出た彼に泣きながら現状を話すと、聞こえてきたのは深~いため息。そして……。

「『俺は日本にいるし何もできない』『本当にしんどいならまずフロントに電話すべきだ』と淡々と諭され、『もう、こういうときに電話するのは俺じゃないことをわかってくれ』と締めくくり電話を切られました。

 聞き慣れた優しい声を聞いて不安を紛らわせたかっただけなのに、こんな仕打ちにあうとは……。悲しみを癒すはずの旅で辛さとさらなる悲しみをくらい、『これは何の罰なの!?』と死にたくなりました」

◆医師の診断は「腎盂腎炎」……って何?

 泣きっ面に蜂とはまさにこのこと。その後、一晩中悪寒と高熱を繰り返し、朝になって始まった頭痛を鎮痛薬でごまかしつつなんとか帰国。その足でかかった病院での診断は「腎盂腎炎(じんうじんえん)」だったとか。