2022年にダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが急逝したときは、フジテレビやテレビ朝日が上島さんの自宅前から中継したことで批判が続出。直後に厚生労働省が「報じ方によっては『子供や若者、自殺念慮を抱えている人の自殺を誘発する可能性』がある」とし、過剰報道の例として「自殺で亡くなった方の自宅前等から中継を行う」などを挙げ、事実上の名指しで注意喚起する事態になった。中山さんは入浴中の不慮の事故で亡くなったとされるため状況の違いはあるものの、反省点はまったく改善されていないようだ。

 さらに、芸能界からもメディアに対して苦言が続発した。お笑いコンビ「アルコ&ピース」の平子祐希は7日付のSNSで「誰かが亡くなった時『肉親の心境聞きたい!マスコミ突撃してくれ!』なんて思ってる人いないよ」と発言。直接的な言及ではないが、中山さんの自宅に押しかけて忍に取材対応させたメディアのことを指しているとみられる。

 お笑い芸人のほんこんも同日に投稿したYouTube動画で、「こういうニュースは亡くなったことだけでいいと思うんですよ」「急に最愛の親族が亡くなったときに、マイク向けられて何を言うんですか?」などと忍を気遣いながら、「(マスコミが)家に行ったら、ご近所の目もあるから収束させようと思って出てきはりますよ。家とか映したら、『芸能人の家か』言うて二次被害もあるかもしれんやないかい」とメディアに訴えた。

 亡くなった著名人の自宅に押しかける取材方法は昔からあるものだが、平子がSNSで発した「世間は誰も『自宅に突撃してくれ』なんて思ってない」という言葉には多くの共感の声が寄せられている。大手メディアはそうした世間の空気を察し、取材方法を考え直すべき時期に差し掛かったのではないだろうか。