竹のさまざまな造形美を探究する竹芸家・濱田哲彰(Yoshiaki Hamada)氏の個展が、12月6日(金)~15日(日)の期間に開催される。

同展の会場は、高知県香美市土佐山田町の「土佐打刃物とくらしを楽しくする道具店 hako-hako」。入場は無料で、予約不要だ。

作品づくりと並行して、竹の環境保全を行う濱田氏


高知県須崎市を制作拠点に、国内外の工芸展覧会に出品する濱田氏は、2019年から大阪にて竹芸家・四代田辺竹雲齋に師事。数々の大掛かりな作品展示プロジェクトで海外へ同行するなど、師匠と共に作品制作に取り組んでいた。

須崎市は、竹雲齋師が重用する「虎斑竹」の唯一の産地とされているが、昨今は酷暑や豪雨といった異常気象や、後継者問題による竹林の放置が、竹の生育に影響を及ぼしているという。それを知った濱田氏は、修行後に須崎市の竹山に入り、竹の環境保全を作品づくりと並行して行う日々を送っている。

“ありのままの竹”を芸術の視点で再構築

濱田氏は、荒れた竹林に入り生育環境を憂いつつ向き合うなかで、竹の「ありのままの姿が問いかける造形美」を通して、竹を取り巻く環境を知る機会作りを視野に入れた空間芸術(インスタレーション)に取り組んでいる。

今回の個展は、6月に開催された「序~beginning~」の続編で、タイトルは「Beginning」~ no.01~だ。同展では、ありのままの竹を芸術の視点で再構築し、金属など異素材との融合をはじめ、存在感を豊かに表現する作品が展示される。

濱田氏の山の師匠である金崎竹材店と共に山に入る様子を捉えた写真や、竹林の香りを思わせる精油による香の演出などから、山に入り竹と向き合う濱田のライフワークも垣間見えるインスタレーションだ。

会場は、築90年の古民家を用いた道具店


「土佐打刃物とくらしを楽しくする道具店 hako-hako」は、高知県香美市土佐山田町の歴史ある商店街にある、築90年の古民家を用いた店舗。店名のhako-hako(はこはこ)には、アートや暮らしを楽しくする道具に身近に触れられる街の「箱」でありたいとの思いが込められている。