当然かまいたちも仕事ができない時期がありましたが、徐々に番組収録が復活する中で、テレビ局はできるだけ少ない出演者で番組作りをするようになっていった。そこで、ちょうど売出中だったかまいたちは、他の芸人に比べてよりも多く番組に出演できたんです。これまで数組の芸人が出ていた番組でも1組だけの出演になるようなこともあり、そういったときにかまいたちが選ばれやすくなりました。もちろん、かまいたちが出演した番組で結果を出したからリピートされたわけですが、売り出しの時期にかまいたちに番組出演が集中した結果、一気にスターダムを駆け上がったというラッキーもあります」
そして何より、かまいたちの2人は、バラエティ番組に対する適応力を持っている。エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう話す。
「かまいたちのネタはダークな雰囲気のものがあったり、クセの強いキャラクターが登場したり、あるいは山内さんの変態性が垣間見られたりなど、お茶の間向きではないなんていう見方もありました。でも、実際にバラエティ番組に出ているかまいたちの2人は、どんな内容にもフィットする柔軟性がある。
ハードコアなお笑い番組であれば、もちろんストイックに笑いを追求するし、10代の若者たちに密着する『超無敵クラス』(日本テレビ系)のような番組なら親のような優しい目線で見守りながらコメントをする。制作サイドが求めることをしっかりと具現化し、さらにかまいたちらしい面白さも加えてくる。安心して任せられる芸人です」
さらにかまいたちは、自身のYouTubeチャンネルでほぼ隔日で動画を公開し続けており、コンスタントに40万~60万回ほど再生されている。動画の内容は、主に人気チェーン店のメニューを食べたり、プライベートの様子を報告したりなど、必ずしもお笑い要素が高いものではない。
「かまいたちのすごいところは、マニアックな方向には進まず、より幅広い視聴者層に向いているところ。お笑い賞レースで結果を出した芸人というと、どうしても職人タイプになりがちで、自分のスタンスを崩さないことも多い。しかしかまいたちの場合、常にマスに目を向けている。現時点でもっとも地上波テレビ向きの芸人でしょう。そのうえ、キングオブコントとM-1で結果を出していて、実力は証明されている。全方位型の最強のコンビと言えるかもしれません」(大塚氏)