パリをはじめとするフランス各地には、さまざまな魅力がたくさん。1度は訪れたい憧れの地ですよね。でも、日本から飛行機で10時間以上かかるので、そんなに気軽には行けないのが悩ましいところです。
今回は、フランスよりも近いベトナム旅行でフランス気分を味わう方法を紹介したいと思います。「ベトナムでフランスってどういうこと!?」と驚かれる方も多いかもしれませんが、ベトナムは19世紀フランス統治時代の街並みやその当時にフランス人建築家によって建てられたコロニアル建築の宝庫。その他、雑貨や食文化まで至るところにフランスを感じることができます。建設ラッシュが続くホーチミン、昔の面影が残る古都ハノイで「プチパリ」を探してきました。
“東洋のパリ”ホーチミンでフランス建築巡り
「東洋のパリ」とも呼ばれるホーチミンは、ベトナムの商業の中心地です。近年、高層ビルなどの建設ラッシュが続いていますが、コロニアルな街並みは健在。ノスタルジックなサイゴン時代の面影と変化が著しい現代が同居する独特の雰囲気が魅力的です。まずは、ホーチミンを訪れたら必ず通るドンコイ通りへ。サイゴン大教会前のロータリーからサイゴン川にかけて一直線に延びる通りは、古くからの繁華街でホーチミンのシャンゼリゼ通りとも言われています。
フランス統治時代の歴史的建造物やコロニアル様式のホテルが点在し、現在はおしゃれなカフェやショップが集まるエリアでもあります。
ドンコイ通りの起点でもあるサイゴン大聖堂は、1877~1880年にかけてフランスの入植者によって建築されたカトリック大聖堂。
この大聖堂はパリにあるノートルダム大聖堂の建築様式を基にローマンとゴシックという建築様式を用いています。建材はすべてフランスから輸入され、特徴的な赤レンガは、マルセイユから運ばれたものだそう。
ドンコイ通りに向かって建つ聖母マリア像には、祈りを捧げる地元の人や観光客で朝から晩までいつもにぎわっています。
サイゴン大教会の横にあり、黄色の外壁と大きな時計が印象的な建物。中に入るとアーチ型の天井がまるでヨーロッパの駅のような趣き。この建物は、なんと(!)パリのエッフェル塔を設計したエッフェル氏が設計したもの。
パリのオルセー美術館の当時の駅舎をモデルにしたといわれ、ここから本当に列車に乗って旅に出られそうな広々とした空間です。
こちらは、通常の郵便・通信業務を行う他、観光名所としてたくさんの外国人も訪れています。
「ホーチミン市人民委員会庁舎」は1908年に建てられたフレンチコロニアル様式の建物。夜はライトアップされ、観光客の撮影スポットとして人気です。
バロック様式の建物が目を引くこちらは「市民劇場(サイゴンオペラハウス)」という施設。天使像や壁画の優雅な造りが素敵です。現在も定期公演が行われているので、ぜひチェックしてみては?
「市民劇場」の隣には、ホーチミンで最も歴史が長いホテル「ホテル・コンチネンタル」があります。1880年に開業したホテルです。
1992年公開の映画「インドシナ」のロケ地としても知られています。夜、ライトアップされた様子もとってもきれいでした。
このポスターは、歴史ある5つ星ホテル『マジェスティックホテル』。
ミッテラン仏大統領やカトリーヌ・ドヌーブをはじめとする有名人が宿泊したホテルです。ベトナム戦争時には、各国のジャーナリストが宿泊し、屋上のブリーズ・スカイバーは情報交換の場だったそう。今でもタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気が残っています。
古き良きフレンチベトナムスタイルが楽しめるハノイ
ホーチミンから少し足を伸ばして、ベトナム北部に位置する首都ハノイへも行ってみました。ハノイはベトナムの政治、文化の中心地。かつてフレンチクオーター(フランス人居住区)があったホアンキム湖周辺を中心にフランス統治時代の建物が点在しています。ホーチミンとは対照的に、昔ながらの街並みと暮らしが古き良きフレンチベトナムスタイルが気分を盛り上げてくれます。
まるでパリのノートルダム寺院のようなこちらは「ハノイ大教会」。ノートルダム寺院をイメージして設計されたのだそう(やっぱり!)。1884年に建てられたハノイで最も古い、ネオ・ゴシック様式の教会です。外壁の色が歴史を感じさせてくれますね。
フランス統治時代の1911年にパリのオペラ座(オペラ・ガルニエ)を模して建てられたギリシャ様式の劇場も。ハノイのコロニアル建築の代表とも言われる建築物です。現在も月に数回オペラの演奏会や演劇が行われています。大劇場の周辺にはフレンチスタイルのカフェもあるので、オペラの演奏会を楽しんだあと、カフェでのんびりなんていうパリ気分も味わうことができちゃいます。
フランスとベトナムのコラボレーション建築!?
こちらは、フランス人建築家がベトナムの伝統建築を取り入れて作った、フランスとベトナムのコラボレーションとも言える建物。西洋と東洋が融合し生まれたインドシナ建築は、なんとも独特の雰囲気!
ベトナムで探す小さなパリ
歴史的建造物だけではありません。町を歩けばいたるところに「小さなパリ」を見つけるとができます。私がベトナムで見つけたプチパリコレクションをご紹介します。
カフェやフレンチレストラン。お店の前の写真だけだと「ここはパリ?」と思ってしまいますが、アオザイをかぶった方が通り過ぎているので…やっぱりベトナムですね。
フレンチテイストなアイアンフェンスもいたるところにありました。
パリのアパルトマンのようなタイルの床も。
パリでおなじみの光景、路上駐車!ベトナムでもぎゅうぎゅうに駐車されていました。
コーヒーにバインミー!フランス✕ベトナムグルメを堪能
フランスがもたらしたのは、建造物だけではありません。日本でも人気のベトナム料理のメニューの中には、実はフランスがルーツというものも多くあるんですよ。
そのひとつが、カフェ。ベトナムの街を歩いていると、カフェの多さに気づくはず。
グラスにコンデンスミルクを入れて、アルミやステンレス製のフィルターをのせて入れるのがベトナムスタイル。深煎りの豆と甘いコンデンスミルクがクセになるおいしさです。
今では日本でもよく知られているベトナムコーヒー。実はフランス統治時代、フランス人入植者が、ベトナムがコーヒー栽培に適していることを発見し、栽培を始めたのがはじまりと言われています。
路上カフェは道路に向かって低いプラスチック椅子を並べられているこの風景は、ベトナムではおなじみのもの。
フランス人同様、オープンカフェでのんびりくつろぐのがお好きなよう。この他、チェーン展開のカフェやヨーロッパ風のカフェ、最近ではサードウェーブ系のカフェなどさらなる進化を続けています。
日本でもおなじみのバインミー(ベトナム風のサンドイッチ)も忘れてはいけませんね。フランスの食文化に影響を受けた、ベトナムの国民食のひとつです。
皮が薄くて中身はもっちりとした食感のフランスパンは、誰もが虜になります。具材のバリエーションもさまざま。路上から専門店まで、いろいろなタイプのお店で味わうことができます。
その他、レストランやホテルのメニューにもフランスの食文化の影響を感じさせるものがたくさんありました。ベトナムのシチュー「ボー・コー」に合わせるのは、フランスパンか米麺!フランスの小麦文化とベトナムの米文化、どちらも楽しめるようになっているのですね。
ホテルの朝食風景もどこかパリの雰囲気でした。
フランス生まれの「La cache de Quito rit.(ラ・ヴァシュ・キリ=笑う牛)」でおなじみの三角形チーズ
現地の方々が日常的に買い物をするようなスーパーでもたくさんフランス食材を見かけました。
乳製品がおいしいベトナム。チーズやヨーグルトの種類が豊富で、しかもおいしいんです。
お土産にもぴったりのヌガーの包み紙がエッフェル塔になっていました。
建物や食文化など、さまざまなところでフランスを感じることができました。ホーチミンへは、日本から飛行機で5時間で行くことができます。パリに行ったことがない人はパリの雰囲気を味わうことができ、また、パリを訪れたことがある人も別のパリを感じることができます。ぜひ、「東洋のパリ」ベトナムで、自分なりのパリを探してみてください。
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