「リョウは自分の価値観以外認めないから、そういうのもほんとはちょっとつらかった」
リョウは共有していたと感じていたその価値観、エリにとっては押し付けられていたものだったという告白です。大打撃だね、大打撃だよ。
変わってしまった最愛の妹に我を失ったリョウは、普通の主婦として田舎暮らしをしているエリの人生を「間違ってる!」と声を荒らげて否定するしかありませんでした。
帰路、バスの中で大いに落ち込むリョウ。言っちゃいけないことを言ったのは自分でもよくわかっています。しかし、物書きですから〆切はやってきます。師匠の大平かなえ(筒井真理子)は「悩みがあっても、書くことで救われることもある」と言いました。
再び仕事に向き合ったリョウは、登場人物のセリフとして、「彩乃が変わっても、僕の気持ちは変わらない。だから、安心して変わっていいよ」と書き留めます。
そしてリョウ自身も、リツとの将来についてゆるやかに考えはじめ、言葉にするようになりました。かつて妹と2人で誓った「結婚しない同盟」という呪い、それが変わっていくことを、リョウ自身が許し始めるのでした。
■嫌われる勇気
それにしても、大衆ウケしないキャラクターを作るもんだなと変に感心してしまいます。リョウという脚本家志望の女性が「大衆ウケより魂の叫びを」というスタンスで創作していることはよくわかりますが、第1回から、この人自身があんまり視聴者から愛でられようとしていないんですよね。
きれいごと書いてもしょうがないだろ、というこのドラマの脚本家の覚悟が察せられるところです。きっとリョウというキャラクターには脚本家自身の反省や後悔が存分に込められているだろうし、「書く場所があるだけ幸せだよ」というメッセージも含まれているように感じます。なんだか、テレビドラマというメディアがひとりの作り手を救っている様を見ているような感触なんですよね。こういうの、あんま伝わらないと思うけど。
(文=どらまっ子AKIちゃん)