結婚をし、子も成した。それでも、まひろの心の中にもずっと道長がいた。

まひろなりにいろんなものを手に入れたけれど、道長だけは手に入らない。まひろ自身も、自分の思いから解放されたかったのかもしれない。

ある意味、けじめをつけるように賢子が道長の子であることを告げた。驚きの表情を浮かべる道長。どうやら、本気で自分の子だとは気がついていなかったようだ。道長にとって衝撃の事実だっただろうけれど、それでもまひろに向かって発した言葉は「行くな」。前に進めない道長と、進もうとあがくまひろの対照的なシーンとも言えるかもしれない。

◆まひろの第二の人生は落ち着かない

まひろが旅立ち、道長はやがて出家を決意する。まひろがいない現世には未練がないと言っているようだ。倫子は止めるが、意志は固い。まひろを思う気持ちが強いのは良いことだが、「藤式部がいなくなったからですの?」と言わせてしまうのはさすがに夫失格ではないだろうか……。

道長は倫子が止める言葉も聞かず、出家をする。

もしかしたら、出家することで幾分、吹っ切れた部分はあるのかもしれない。その後の表情はかつての道長を彷彿とさせる。

一方、まひろは大宰府で周明(松下洸平)と再会していた。まひろが道長以外で心を惹かれた数少ない男性ではないだろうか。

「源氏物語」を書き終え、これからのまひろの人生というのは穏やかなものではないかと思ったが、まだまだ刺激の強い日々が続きそうだ。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】

大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ