「私が体調を崩すと、残業があっても帰宅後に必ず手料理を作ってくれるんです。インスタントよりも、手作りのほうが体にいいだろうからって言って」

 自分にとことん優しい夫の姿を目にし、理世さんは日々、この人と結婚して本当によかったと痛感していました。

◆父親の体調不良と大型家電の購入が重なった

並ぶ洗濯機
 ところが、数カ月前。夫を見る目が変わる出来事が起きます。ある日、自宅の洗濯機が故障。そこで、馴染みの電気屋さんに頼り、買い替えることに。

「20万円ほどの洗濯機を購入しました。私たち夫婦は財布が別なので、折半して家電代を出し合うことにしたんです。夫からは『大金だから、手渡しではなくて口座に振り込むね』と言われました」

 そんな話し合いがなされた数日後の夕方、近隣に住んでいる理世さんの父親が突然、胸の違和感を訴えたことから、理世さんは救急病院へ連れていくことに。啓治さんは帰宅前だったため、理世さんは事情をLINEで送り、車を走らせました。

◆家電代のことしか頭にない夫に幻滅

 すると、30分後、啓治さんから電話が。その時、啓治さんの口から出た言葉に理世さんは憤りを感じました。

「父の心配もそこそこに、家電代をATMに振り込みにいったら機械が故障してしまって、正常に振り込まれたのが分からないから、すぐに確認してほしいって言われて。時間帯的に確認するのは難しかったですし、たしかに大金だけれど、それは今、言うことなのかと、イライラしました」

 病院では緊急性はないと診断されたものの、理世さんのお父さんは翌日、専門の科で詳しい検査を受けることに。はっきりとした原因が分からなかったため、理世さん親子は不安な気持ちのまま、帰宅しました。

 帰宅後、理世さんは「お父さん、どうだった?」と尋ねてきた啓治さんに事情を説明。翌日も病院に付き添うことや不安な気持ちであることも伝えました。

 しかし、啓治さんはその話を早々と切り上げ、「お金がちゃんと振り込まれているか、明日確認してほしい」と家電代の話にシフトチェンジ。さらに、いかにATMの故障が怖かったかを説明し始め、「振り込むのがもっと遅くても良かったのなら言ってくれよ。そしたら、週末一緒に確認しながら安全に振り込めたのに……」と理世さんを責めました。