2020年はコロナの影響を受けて、私たちの「働き方」への価値観が大きく変化しました。ご自身のキャリアに向き合う機会も多く、今後どう人生の舵を切って良いかという悩みを抱いている方も多いのではないでしょうか。40代以降のキャリアについて、どう向き合っていけば良いのかを、川崎貴子さんがお話してくれました。
本稿は、12月5日(土)にて開催されたDRESS主催イベント「これからの時代をどう生きる?川崎貴子さんが40代女性のキャリア形成についてお話します」のレポート記事になります。ここでは、登壇していただいた川崎貴子さんのお話しの内容を一部お届けします!
登壇者プロフィール
リントス株式会社代表取締役。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。
現在は株式会社ninoya取締役、及びベランダ株式会社取締役として、共働き推奨の婚活サイト「キャリ婚」を立ち上げ、婚活結社「魔女のサバト」も主宰。「女性マネージメントのプロ」、「黒魔女」の異名を取る。著書に『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)、最近では『我がおっぱいに未練なし』(大和書房)などがある。
■先行き不安な経済の状況でのキャリア形成はどうするべきか?
「今までのバブル崩壊やリーマンショックのときと同じように、今回のコロナに関しても今日本経済は大きな打撃を受けています。まず、そんな混沌とした経済状況の中では、安易に動くな! とお伝えしたいです」と川崎さん。
自分にとってやってみたい職業への転職のチャンスが来た……など、プラスになる動きだったらもちろんスタートしても良いのですが、今いる業界は不安だから、何か新しいことを始めなくては! と焦燥感にかられての転職活動はかえって危険になりうることもあるそう。
「それから、安易に動くこともリスクだけど、まったく動かないこともリスク。まずは自分の趣味や興味のあることへの視野をうつして、小さくても良いから動き続けることが大切」
特に40代になってくると、「自分の殻をさらに突き破っていきたい」「でも年齢のことを考えると限界を感じる」という葛藤を抱えるシーンが多くなってきます。今は副業OKの会社も増えてきていますし、ボランティアから始めるでも大丈夫なので、まずは興味のある分野の経験を増やすことが大切。小さくても、人との繋がりや経験を増やしておくことが後のキャリアで活きてくることもあるのです。
■自分のキャリアは資産
川崎さん自身も、働く女性の成長・成功のサポートを理念に25歳で起業。仕事に邁進していましたが、40歳になってふと、「キャリアだけではない、女性の幸せのサポートは仕事としてしてきたのだろうか」と考え、小さな出版社を作ろうと会社を経営するかたわら、社外取締役で他の会社にジョイン。
そこで今まで語ることのなかった恋愛・結婚についてブログで書いてみたら、結果的に『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)という本を出版することになります。40歳になって初めてのことにも挑戦し、その後も「女性のキャリアと結婚・恋愛のサポート」を形にしていったものが、現在川崎さんが運営しているオンラインサロン「魔女のサバト」、婚活サイト「キャリ婚」となっています。
川崎さんは出版社でのお仕事を、ボランティアで行っていたそう。そこでの経験や人との繋がりが、次のステージの足掛かりになったと言います。
自分のキャリアは資産なので、ひとつのことに賭けないことがポイント。ものづくりが好きな人は、フリマアプリなどを利用して何かを作って売ってみる、など些細なことでも挑戦することが大切。
起業や個人事業主などの業態でなくとも、趣味の範囲内で足掛かりとして始めてみたり、オンラインで資格取得するのもおすすめ。
■自分の棚卸しでは自分の良いところをたくさん見つけること
キャリアを積み重ねるうえで大切な「自分の棚卸し」。
川崎さんいわく、自分の棚卸しに必要なことは「得意なこと、好きなこと」「自分にできること」にフォーカスを当てること。
キャリアカウンセリングをしているなかでも、日本人女性は自分の弱みはたくさん話せるけれど、強みについて完璧に達成しないと「できる」とは言わないことが多いそう。うっすらできると思っていても、「自分の強み」とは認識していないため、対外的にも伝わりません。
世の中のニーズを汲み取りながら、自分の強みを活かしていかないと、仕事をしていても潰れてしまうし、何より面白くないと続きません。求められるステージががあり、自分が続けられて、楽しく社会貢献できればハッピー。
そのためにも、「人から上手いと言われることや、やっていて楽しいことはたくさん自覚すること。その中で自分の強みを『知る』ことがとても大事」と川崎さんはおっしゃいます。
■40代からのキャリア形成において大切な3つのポイント
今の仕事を続けていく上でも、新しいキャリアを探す上でも、どの分野で何をスタートさせるのかは迷うポイント。そこで、キャリアの方向性を考える際に大切なチェックポイントは3つご紹介していきます。
1.継続性(これを続けるのが好きか)
2.市場性(今現在、ニーズがあるか)
3.将来性(アフターコロナでも通用するものか)
この3つを意識して、小さな挑戦を重ねていくと将来のキャリアで思わぬ道を開くことができるかもしれません。そうしていく中で、自らの仕事をつくりあげていくことができるのです。
■心の身体と健康は、周りのためにも自分で守る
川崎さんは39歳で次女を妊娠し、40歳で出産。その後、会社起業、育児、原稿執筆を月10本抱え、講演もこなしていました。
そのときに胸にしこりが見つかり、乳がんが発覚(詳細については川崎さんの著書『我がおっぱいに未練なし』に記載されています)。
川崎さんが選択したのは、右乳房全摘出後に女性ホルモンをカットする治療でした。普通なら50歳過ぎに訪れる閉経を40代で経験し、そこで訪れた更年期の症状の数々。現代人の女性は人類史上、こんなに生理の期間が長く、閉経後の人生が長い人類はいない、とのこと。
昔は初潮を迎えたら何人も子どもを産み、その間生理は訪れず、閉経を迎える頃に寿命を迎えていました。生理の不調も、更年期の不調も、現代人だからこそある病気。だからこそ自分の健康を守るためにも、辛い症状を我慢するのではなく、頼れるところには頼るべきと川崎さんは話します。
年齢を重ねていく中で仕事やパートナー、家族に対しての責任が大きくなる人もいます。その人たちのためにも自分を大切に、守っていかなきゃいけない責任があるので、こういう治療をしたらどうなるか、ということをきちんと自分で知り、周りの人にも説明して協力体制を整えていくことが大切なのです。
■イベント参加者からの質問にもお答えいただきました
昇格対象から外されていることを感じています。年下もどんどん台頭し、職場で腫れ物扱いされるのも、転職して一兵卒から始めることも面倒。どうしたらいい?
昇格したいことは上司に話しているのかな?
私自身も会社員時代に希望の部署に配属されなかったとき、挨拶レベルで毎日毎日上司へ営業部への異動をアピールし続けました。上司は、一番やる気のある人にまかせたいもの。腫れ物扱いされるより、アピールして昇進しちゃえば良いし、その方が楽です。
1年アピールを続けて無理なら転職しましょう。出世や昇進に対して風通しの良い会社をエージェントに相談して転職していくことも手です。世の中は仕事に溢れています! ミニマムな仕事でも、自分の強みをたくさん棚卸して、自分の道の枝葉をどんどん伸ばして、大きな木を作っていく気持ちで。
仕事を続けながら30代後半で出産。ふたり目は欲しいけど金銭的に、体力的に心配。でも子供は欲しいと思って今います。ホルモンのせいでしょうか?
私の長女と次女は7年離れています。39になったときに、欲しいなと考えて、自分の人生だから、と妊娠に踏み切りました。
子どもを出産するにあたり、手が必要な時期は限られているから、ベビーシッターさんを雇うのひとつの方法です。自分のキャリアは自分が止まると止まってしまいます。パートナーやご実家との協力体制と作るなど、なんとかなることはたくさんあります。欲しいと思うなら、自分の気持ちを大切にしてください。
インスピレーションで動いてしまうし、やることが多くてついつい焦ってしまいます。焦らない方法を知りたいです。
インスピレーションで動くってとても素敵なことです。過去の成功体験やセオリーが今では通用しなくなってきて、一番退化したのはインスピレーション。
数字や裏付けよりも「なんか良い!」「これ素敵!」というのをどんどん発信していくべきです。数字は後から付けていく!それが大事。これからはいろんな女性のインスピレーションは価値が出てきているので、インスピレーションを大切にしてください。
ただ焦る、ということは自分の中で優先順位がついていない証拠。女性は一度にいろんなことができてしまうので、アウトプットするときに焦ってしまいます。大切なのは、整理しながらアウトプットしていくこと。テンパっている女性はもったいないです。度量があるゆえにいろいろ引き受けているのは、情報処理能力が高い証拠。でも、キーっとなっていると仕事ができないように見えてしまうし、信頼に関わります。なので自分自身をマネジメントしていきましょう!
メモに書き切れないほどの貴重なヒントの数々。川崎さん、ありがとうございました!
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