2003年から2024年までの膨大な過去作をひとつひとつ確認したら、たぶん下手側に位置する平岡がいくらでも見いだせると思う。少ない出番、少ない情報量の最新出演作品からでも、細かく共通する俳優としての特性がある。
◆ゼロ年代はジュノン・ボーイの称号に価値があった時代
そもそも平岡祐太を語るためには、彼がジュノン・スーパーボーイ・コンテストの出身者である事実を確認しておかなければならない。平岡がグランプリを受賞したのは、2002年の第15回。前年のグランプリ受賞者が、小池徹平。
さらに歴代受賞者から特筆すべきは、第19回(2006年)の溝端淳平。前年が、中村蒼。2009年の第22回が稲葉友である。彼らの現在の活躍を考えると、ゼロ年代は、ジュノン・ボーイであるという称号に価値があった時代だったとわかる。
1997年の第10回以降、1万人の応募者総数を超えるようになったものの、近年は減少傾向にあることやデビューのチャンスが他の場所にシフトしたこともあり、コンテストそのものの存在意義が薄れている。ゼロ年代の歴代グランプリ受賞者が2020年代まで長く活躍するためには、平岡祐太のように画面細部で、ある種、職人的に工夫する必要があるのかぁと漠然と考えてみた。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu