アート作品の制作や販売を手掛けるアートセピアは、山梨県身延町の山十製紙と水晶粉が漉き込まれた手漉き和紙を開発し、作家・瓜生剛氏の風景画「絵写真」を水晶和紙にプリントしたデジタル版画の販売を楽天市場にて開始した。
水晶粉を漉き込んだ和紙を開発
日本有数の水晶の産地だった山梨県の金峰山一帯。現在はこの地域での水晶の産出はないが、江戸時代から伝えられてきた水晶の研磨技術により、山梨県には現在でも全国の約3割のジュエリー業者が集まっている。
アートセピアは、山梨県西嶋地方で400年近く続いている伝統の和紙工房・山十製紙と共に、山梨県のジュエリー業者が水晶を切削し研磨する際に生じた水晶粉を分けてもらい、和紙に漉き込んで「絵写真」に合う「水晶入り和紙」を創出した。
雲母を水晶に混ぜ込んで輝きをプラス
西嶋和紙では、富士山や南アルプスの雪解け水が流れ込む富士川の伏流水を使用しており、水晶粉は富士川の清冽な水で浄化される。
水晶粉を水に溶かし、上澄みのみを汲み取り沈殿物を捨てる作業を繰り返すことで、不純物を取り除く。
この水晶溶液を和紙原料に混ぜ合わせ、木枠に流し込み、1枚1枚手で漉いていくと、白い水晶入り和紙が完成する。
それだけでは普通の白い和紙のようになってしまうので、雲母と呼ばれる鉱石を砕いたものを水晶に混ぜ込むことで、水晶の結晶のようなきらきらとした印象を和紙に表現することを可能にした。水晶と一緒に漉き込んだ雲母がきらきらと輝き、手で漉くことで生じる四辺の柔らかな縁取りも楽しめる。
風景写真をグラフィック処理して和紙にプリント
この和紙に「絵写真」をプリントしたのが「和紙の絵写真」。作家が自ら撮影した風景写真を、絵画調にグラフィック処理して、手漉き和紙にプリントしたデジタル版画だ。新しいデジタル技術を使ったグラフィックアートと、日本古来の伝統の手漉き和紙とのコラボレーションを楽しむことができる。