仲間増加によるミュージカルパートの厚み
仲間たちといえば、ミュージカル(歌唱)パートにも大きな変化が起きた。
1作目では基本的に、海に出て以降は歌えるキャラクターがモアナとマウイのふたりしかいなかったし、ふたりが一緒に歌うこともなかったため、海底でタマトアが歌った「Shiny」も含めてほとんどの楽曲はソロ楽曲だった。
その点、今回は3人の新たなクルーがいるし、キャラクター同士でのコーラスも増えている。航海序盤で披露される「What Could Be Better Than This?」をはじめとして、コーラスによるハーモニーやテンポのよい掛け合いが行われる曲が増え、歌に厚みが増したのは今作の大きな魅力といえよう。
神話・英雄譚カラーの強化
新キャラ マタンギの「Get Lost」にどことなくゴスペル感が漂っていたり、マウイの楽曲「Can I Get A Chee Hoo?」のパートでは試練を乗り越えていく修行のような描写があったりと、今作を観ながらふと思い出すのはディズニーのアニメ映画『ヘラクレス』(1997年)だ。
今作では神がかった存在や伝説級の怪物が登場し、モアナの“選ばれし勇者”感もよりいっそう強調されている。前作からあった神話・英雄譚風の世界観が強まり、ロマンあふれる王道アドベンチャーものとしてファミリーで楽しめる仕上がりといえよう。
仲間を増やし、協力者を得ながら一難去ってはまた一難の予測不能な冒険を一歩一歩クリアしていく様子は、ファンタジーRPGなどが好きな観客にも刺さるかもしれない。もちろんそのエキサイティング体験は美麗かつ迫力のある映像によるものだ。
モアナが世間知らずの冒険お嬢から、責任感に揺れる新人リーダーとして、真のリーダーへの過渡期を見せてくれる、歌にも厚みを増した新たな英雄譚ミュージカル映画『モアナと伝説の海2』は12月6日(金)日本公開。迫力の映像と歌声に胸を躍らせていただきたい。