岩手県旧湯田町(西和賀町)

日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。

今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。

「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。

今回は、岩手県旧湯田町(西和賀町)を写真とともに紹介する。

Vol.348/岩手県旧湯田町(西和賀町)

旅は二日間、雨で休ませてもらっていた。

二日前の夜は「トルルンッ」とスマホにアラームが届いて、滞在していた地域で避難指示情報が出た。ハザードマップや避難先は確認していたし、指示の該当地区には含まれていなかったから、そのまま過ごしたけれど、納得の雨であった。

昨日は大雨ではなかったが、7月下旬の梅雨らしい雨であった。迷惑にならずに作業できる場が欲しいので、合羽を着て喫茶店に移動して。

そして、今日は大丈夫かなと思っていた。朝見上げた空も、まあまあ晴れていた。最終的には花巻市を目指していたし、「雨ニモマケズ」かあと、それっぽくこの言葉を何度も頭に浮かべていたわけだけれど、蓋を開けてみると、出発してからもう、今まででトップクラスの土砂降りであった。

雨ニモマケズという言葉は、雨に濡れている立場からすると、なるほど…と思う。

最初にやって来たのは旧湯田町だ。秋田県と県境を接している山間地帯で、北上市から向かうとき、険しい山並みを覆うように、もくもくと分厚い雲が湧き上がっていた。冬であればこうやって雲が山にぶつかって、雪雲として雪を降らせるのだろう。

と、最初はまだ余裕があったわけだけれど、いざ旧湯田町に入ると、「雨だな…」と。霧雨からはじまって、まだ合羽は大丈夫かなと思ったら、10分後にはいよいよ本降りになった。「北上盆地は晴れているのでは?」と思ったが、それも違った。半日ずっと雨が続いたのであった。