その後、申し訳程度に神戸についての結ちゃんとアユの会話があったり、結ちゃんが野球選手の彼氏を支えるために栄養士を目指したくせにスポーツに関わる栄養士の仕事について何も勉強していないことが明らかになったりしつつ、本日のメインイベントとなります。

 アユと神戸。それについて、私たちが知っている情報は以下の通りです。

 アユは震災以降、神戸に帰っていない。自分の人生に多大な影響を与えた親友・マキちゃんの墓参りに行きたいけど、1人じゃ行けないから家族みんなについてきてほしいと思っている。

 そんなアユが神戸に帰ってきたということは、いよいよ「アユが初めてマキちゃんの墓参りに行く」という、彼女の人生における大きな分岐点が描かれるということです。そこに至るまでの悩みや苦しみ、ド派手な服で帰ってきたのも、葛藤を隠すための虚勢なのかもしれません。いずれにしろ、時は来た。見せてくれアユ、その心の内を。演じ上げてくれ、仲里依紗。

 誰だって、そう思うよねえ……。

■嫌な予感はしていた

 結ちゃんとの会話でアユが「2年前に震災以降初めて神戸に来た」と言っていたので嫌な予感はしていたのですが、墓前に立って花を手向けたアユは「ただいま、マキちゃん」などと言い出しました。

「ごめんね、ちょっと間が空いちゃって」

 ああ、来てた。2年前にも来てた、こいつ、来てたんだ。

「でもね、これからはちょいちょい来れると思う」じゃないんだよ。なんで「初の墓参り」を見せないのよ。「ずっと来れなくてごめんね」「私、ギャルになったよ」「楽しいよ、マキちゃんのおかげだよ、ありがとう」って、墓前で涙に暮れるアユをくれよ。ボロボロに泣き崩れるアユを支える結ちゃんたち家族をくれよ。それが「支えるって何なん?」だよ。今からでもいいから撮ってきて見逃し配信してちょうだいよ。

 もうね、完全に逃げたなと思いました。ケツをまくった。イモを引いた。

『おむすび』でこの感じになるのは今回だけではありません。一度目は、結ちゃんが初めて栄養を意識して作ったお弁当をまったく映さなかったときです。栄養士を目指す物語で、その主人公の第一歩、それこそ人生の分岐点を象徴するはずのそのお弁当がどんなものだったか、一切描かなかった。