2019年6月に話題になった「老後2,000万問題」。
これを受けて、老後に不安に感じた人もいるかもしれません。
一般的な老後の平均支出を踏まえると、3000万円以上必要になるケースもあります。
しかし、3000万円という大金、簡単には貯められないもの。
そもそも3000万円貯金している人はどのくらいいるのでしょうか?
そこで今回の記事では、
- 3000万円貯金している人の割合
- 【年代別】平均貯金額
- 貯金3000万円を成功させるポイント7選
- セミリタイアは可能?貯金3000万円でできること
を紹介していきます。
貯金3000万円ある人はどのくらい?
実際に3000万円貯金をしている人は、どの程度いるのでしょうか。
金融広報中央委員会が令和元年に行った 『家計と金融行動に関する世論調査』(※)の「金融商品の保有額」(金融資産非保有世帯含む)によると、単身世帯で3000万円以上の資産を保有している人はわずか5.4%でした。
年代別に貯金3000万円以上保有している人の割合を見てみましょう。
【単身世帯で3000万以上の金融資産を保有している割合】
20代 | 0.3% |
---|---|
30代 | 0.7% |
40代 | 4.3% |
50代 | 8.6% |
60代 | 13.4% |
上記の金額は預貯金だけでなく、貯蓄性のある生命保険、債券や株式、投資信託など金融商品を含めたものです。
保有資産の多い順は、預貯金、株式、投資信託、生命保険、個人年金保険。
60代になると貯金3,000万円以上の割合は10%以上になりますが、退職金などまとまったお金が入ってくるタイミングのためかもしれません。
とはいえ、退職金があるであろう60代でも3,000万円以上は全体の約13%であり、貯金3,000万以上の人はかなり少ないと言えます。
※出典
みんなの貯金はどのくらい?年代別の平均貯金額
そもそも一般的にどのくらい貯金をしているものなのでしょうか。
年代別の平均貯金額についても、金融広報中央委員会が令和元年に行った 『家計と金融行動に関する世論調査』の「金融商品の保有額」(金融資産非保有世帯含む)から見てみましょう。
【単身世帯の金融資産保有額】
平均値 | 中央値 | |
20代 | 106万円 | 5万円 |
30代 | 359万円 | 77万円 |
40代 | 564万円 | 50万円 |
50代 | 926万円 | 54万円 |
60代 | 1,335万円 | 300万円 |
こちらも生命保険、債券や株式、投資信託など金融商品を含めたもの。
各年代とも平均値と中央値に差があり、貯金している人としていない人でかなり差があることが伺えます。
つまり、「平均値を上げているしっかり貯金している層」がいるということなのです。
貯金3000万を成功させるポイント7選
調査結果から3000万円貯金するのは、かなり難易度が高いことがわかりましたね。
そこで、ここからは貯金3000万円を達成するためのポイントを紹介していきます!
①貯金3000万のポイント:先取り貯金をする
貯金をするなら、生活して余った分を貯金するのではなく、先取りで貯金をするのが原則。
人間の意志は弱いので、お金があれば使ってしまいます。残ったお金を貯金しようと思っても、ついつい使ってしまって挫折してしまうのです。
そこで、おすすめは毎月の給与日に天引きされるような「財形貯蓄」や「社内預金」を活用すること。
勝手に給料から引かれていくので、貯金分はなかったものとして考えることができます。
②貯金3000万のポイント:明確な目標を持ち、貯金し続ける
3000万円を貯めるために大切なのは、明確な目標を持つことです。
「いつまでに貯める」ということが明確になっていないと、モチベーションが保ちにくくなってしまうのです。
特に結婚していたり子どもがいたりする場合には、家計が一つになり家族としてお金を使う機会が多くなります。
そのため、子どもの教育費や住宅の購入などでつい貯金を崩してしまい、結局貯金3000万がどんどん遠のいてしまうのです。
明確な目標を持つとともに、何年後にいくら必要になるのかをシミュレーションし、夫婦で共有しておくことが大切。
例えば、「子どもが小学校に入る◯年後までに◯◯円貯める」「不足分は妻がパートに出て稼ぐ」など長期的かつ具体的なマネープランを作りましょう。
最も重要なのは、できるだけ借金をしないようにすること。
そして、少しペースを落としてでも構わないので貯金をし続けることも大切になります。
③貯金3000万のポイント:支出状況を把握する
支出状況を把握しておく必要がある理由は、無駄な出費の洗い出しを行うため。
貯金ができない人は、自分がどれだけ使っているかを分かっていないことがよくあります。
しかし、なんとなくお金を使うのはよくありません。
何にどれくらい使ったかをしっかりと把握することで、お金の流れがイメージできるようにしましょう。
「マネーフォワード ME」や「Moneytree」など、スマホで簡単に管理できる家計簿アプリはたくさんあります。
それらを活用して、日々の支出を把握していきましょう。
④貯金3000万のポイント:固定費を削減して少しでも多く貯金にまわす
支出状況を把握していても、「安かったのでつい買いしてしまった…」なんてこともあるかもしれません。
心がけだけでは無駄な出費を抑えるのは難しい場合も。
そこで、大切なのが固定費の削減。
毎月必ずかかる固定費を少しでも抑えることで、貯金にまわせるお金を増やすことができます。
主に見直したい固定費は以下の通り。
①住居費
例)少しでも家賃の安いところに住んだり、家賃の値下げ交渉を行う
②通信費
例)ドコモやau、ソフトバンクなど大手キャリアを使っている人は、格安スマホに乗り換えたり、スマホとのセット割が使えるインターネット回線にしてみる
③水道光熱費
例)供給会社や契約プランを変更して基本料金を下げる
④サブスクリプションサービス
例)ジムやNetflixなどの動画配信サービスなどに入ったままで、利用頻度の低いものは解約する
上記のほかにも、車を売ってカーシェアリングを利用するのも良いかもしれません。
できそうなものから見直してみましょう!
⑤貯金3000万のポイント:給料が増えても生活レベルを上げない
一度上がった生活レベルを下げるのは難しいもの。
家事代行やネット通販など便利なサービスに慣れてしまったり、外食ばかりで自炊する習慣がなくなってしまったりすると、また習慣づけするまでの道のりは大変です。
もし収入が倍になって手取りが増えたとしても、家賃や食費などの生活レベルを上げず、その分貯金に回しましょう。
カツカツに切り詰める必要はありませんが、工夫できるところは工夫して、過度に生活レベルを上げないよう気をつけましょう。
⑥貯金3000万のポイント:株式投資や積立投資など資産運用をする
ある程度貯金ができたら、資産運用をするのも選択肢の一つです。
今は銀行に貯金しても金利が低いため、預貯金ではお金は増えません。
金利が0.001%の場合、100万円を1年間預けたときに受け取れる利息はたった10円。
しかし、投資なら利回り5%だとしたら、約14年後には100万円が2倍に増えることが期待できます。
なかには「投資=ギャンブル」というイメージがある人もいるかもしれません。
確かに常に自己責任ですし、元本割れするリスクを知っておくことは大切です。
しかし、長期・分散投資であれば、資産価格の変動を長期的視点でとらえることで、安定的なリターンを期待できる可能性が高まります。
さらに、長期投資ならほったらかしで良いので、日々の相場状況・値動きを監視し、投資のタイミングを計る必要がありません。
⑦貯金3000万のポイント:1日でも早く行動する
貯金3000万を達成するためのポイントを紹介しましたが、何よりも大切なことは早く動き出すこと。
例えば、60歳までに3000万円を貯めたい場合、40歳から始めた場合には月額12万5000円の貯金額ですが、50歳からだと月額25万円と金額がかなり上がってしまいます。
貯金も投資も時間が味方になりますから、1日でも早く始めることが大切。
仕事が忙しく後回しにしている人は少なくないでしょう。
しかし、早く考え行動することで、将来の選択肢は広がります。
まずは支出状況を見直すだけでもOK!今日からできることを始めてみましょう。
セミリタイアは可能?貯金3000万円でできること
仮に3000万円が自由に使えるとしたら、どんなことができるでしょうか。
ここでは、資産形成の観点から3000万円でできることを解説するので、参考の一つにしてみましょう。
1億円を作れる可能性がある
3000万円あれば1億円の資産を作ることも視野に入れて良いでしょう。
例えば、3000万円を元金として年利5%複利で運用すれば、25年で1億円まで資産を増やすことができます。
1億円というと急に遠い世界の話のように思えるかもしれません。
しかし、ヘッジファンドや不動産投資など想定利回りの高い投資商品を運用すれば現実的に狙える数字です。
もちろん、1億円も必要なければ目標額を下げることでリスクも下がり、達成率をさらに上げられます。
3000万円すべてを元金とせずに、一部だけを運用するのも良いでしょう。
ただし、資産運用はあくまでも自己責任で元本割れのリスクもあることは忘れないでください。
即金で住宅を購入できる
住宅の購入も投資の一つと言えるでしょう。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会によると、東京を除いた大都市での住宅購入平均価格は、一部地域を除けば3000万円未満。
東京23区でも足立区や葛飾区などの地域では3000万円未満となっています。(2019年10月時点)
このように、条件にこだわりすぎなければ3000万円を元手に即金で住宅を購入することも可能です。
賃貸住まいで毎月の賃料が負担に感じている人は、住宅の購入も選択肢として考えても良いでしょう。
ただし、マンションであれば管理費、持ち家なら固定資産税などがかかるので、年金や貯蓄から支払える無理のない金額かどうか事前に確認しておく必要があります。
不労所得を作り出せる
3000万円を元手に、毎月配当があるタイプの資産運用を行って不労所得を作り出すこともできます。
例えば、株式投資で3000万円分を購入し配当利回りが約2%だった場合、年間60万円(税引き前)の配当金を受けることが可能。
月額にすると約5万円の不労所得が手に入ります。
これは老後の年金だけでは賄えない生活費を補てんできる金額として頼りになります。ただし、配当金は年1~2回程度の間隔で支払われるため、実際には毎月お金が入ってくるわけではないため注意しましょう。
また、投資商品には価格変動リスクがあるため元本割れのリスクがあります。
加えて、配当金は企業の利益から支払われるもののため、業績が悪かったり赤字になったりした年度は配当金が下がる可能性もあるため注意が必要です。
万が一、投資している企業が倒産した場合は配当どころか投資資金がすべてなくなるというリスクもあります。
そのため、できるだけローリスクローリターンの安定した投資先を探すことがおすすめ。
安定した投資先を複数見つけておくとリスクを分散できるでしょう。
セミリタイアは可能?
3000万円貯金があれば、セミリタイアを考える人もいるでしょう。
セミリタイアとは、定年前に退職するけれど完全に仕事をしないわけではなく、余暇を楽しみながら余裕があるときに仕事をするライフスタイルのこと。
老後資金として3000万円を確保しつつセミリタイアするなら、貯金を切り崩さずに3000万円を元手に資産運用する必要があります。
仮に3000万円全額を比較的安定しているといわれる米国債(年利約3%)に投資した場合、利益はひと月あたり約7万5000円です。
月に7万5000円の不労所得があれば、セミリタイアも夢ではありません。
時間にゆとりのある仕事を選んだり、家賃の安い部屋を選んだりすることで充分生活していけるでしょう。
しかし、配偶者や子どものいる世帯では、この金額だけで生活するのは正直厳しいです。
子供の教育資金は大学までと考えると、一人当たり約1,000万円が必要となります。
3000万円貯金するなら早く・長く続けることが大切
貯金3000万円ができている人は少なく、難しいため、1日でも早く、そして継続することが大切です。
今回ご紹介した中で、できそうなことから始めてみてくださいね!
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