米メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平が19日(現地時間)、マイアミ・マーリンズ戦で2つの盗塁を記録するとともに3本の本塁打を放ち、本塁打数、盗塁数ともに51として、節目の「50-50」をあっさりとクリアしている。
昨年9月に右ひじの手術を行い、今季は打者に専念していた大谷。シーズン前には長年、通訳を務めてきた人物による違法賭博・銀行詐欺罪などが発覚しメンタル面での心配が報じられることもあったが、始まってみれば空前のシーズンとなった。
メジャーリーグの歴史上、初となる「51-51」という数字。2年連続の本塁打王に加えて、今年は打点王のタイトルも確実視される大谷。日本人選手としてではなく、野球というスポーツそのものの歴史の中でも随一のインパクトを示す選手となったが、ここまでの活躍を思い描いていたファンは決して多くないはずだ。
だが、この活躍を予見していた“レジェンド”がいる。自身も多くのメジャー記録を塗り替えてきたイチローが2019年に行った引退会見で、大谷について語っているのだ。
「僕は1シーズンごとに、1シーズンはピッチャー、次のシーズンは打者として、それでサイ・ヤング(賞)とホームラン王を獲ったら……そんなこと、考えることすらできないですよ。でも翔平はその想像をさせるじゃないですか、人に。この時点でもう明らかに人とは違う選手であると思うんですけど、その二刀流はおもしろいなと思うんですよね。ピッチャーとして20勝するシーズンがあって、その翌年には50本打ってMVP獲ったら、もう化けモンですよね。でも、それが想像できなくはないですからね。そんな風に思ってますよ」
イチローは言外に、どちらかに専念したシーズンを過ごさなければタイトルは獲れないと言っている。だが、22年シーズンに大谷は投手として15勝を挙げ、サイ・ヤング賞投票の4位に入っており、23年シーズンは投手として23試合に先発、10勝を挙げながら本塁打44本でホームラン王を獲っている。その意味では、イチローの想像以上の成績をすでに残していることになる。