現在、インターネットでは欠かせない仕組みとなっているAPI(Application Programming Interface)。現代社会ではこの仕組みなしには、サイトもアプリも開発することは難しいというまでになっている。

近年では、金融の分野でもAPIが積極的に用いられており、銀行でも他社製のアプリから自行の預金データを見ることができるサービスまである。自行のデータを外部に提供するなど一昔前ならあり得なかったことだが、APIを積極的に活用する動きは金融機関で活発になっているようだ。

これまで他社とのデータ連携に対しては内向きだった銀行が、何故APIを活用した積極的なサービスを展開しているのか。

銀行が注力するAPIとは

APIとはあるソフトウェアが別のソフトウェアの機能を呼び出す仕組みのことだ。この機能を使うことで、開発が容易になり他社サービスとの連携などを効率的に実施できるメリットがある。

このAPIを用いて、銀行でも様々な新しいサービスが提供され始めている。たとえば、国内銀行で初めてAPIを公開した住信SBIネット銀行は、家計簿や資産管理サービスを手掛けるマネーフォワードとの提携で新サービスを開始している。これは連携APIを介すことにより、提携サービスである「マネーフォワード」や「MFクラウドシリーズ」上で、住信SBIネット銀行の残高や入出金の照会が可能になるものだ。

他にもみずほ銀行では、LINE APIと連携し、LINE上で預金残高や入出金履歴を紹介可能な「LINEでかんたん残高照会」というサービスを提供している。海外ではさらに進んだプロジェクトもあり、シンガポールのOCBC BankではオープンAPIプラットフォームを立ち上げ、開発者が銀行の商品やサービスを自由に組み込めるようにしているのだ。

銀行はこれまでとは違って、API連携で積極的に自行データを外部に公開する方向に舵を切っている。今後もさらなるサービス展開が期待できるだろう。

銀行によるAPI連携がもたらす利便性

銀行がAPIを使って他社サービスと積極的に連携しているのはお分かりいただけたと思うが、これにはどのようなメリットがあるのだろうか。