平凡社は、小説家・千早茜(ちはや・あかね)さんの最新短編集『眠れない夜のために』1,760円(税込)を、11月15日(金)に発売した。
「眠れない夜」をテーマにした短編を収録
『眠れない夜のために』は、直木賞作家・千早茜さんが紡ぐ、10の夜の物語。
同作は、平凡社が運営するウェブマガジン「ウェブ平凡」連載時から話題を集めていたという。
美しい挿絵を手がけるのは、人気イラストレーターの西淑(にし・しゅく)さん。幻想的な挿絵が、読者を夜の世界へと誘う。
同作の内容を一部紹介していこう。まず第一夜は、「空洞」。「眠らなくてはと、まぶたを閉じる。けれど、目の奥にすこんとした空洞がある」。家族が寝静まった深夜、ひとり台所に佇む時間。
第八夜は、「繡しい夜」。「夜にあるのは、見えない恐ろしさではなく、見ようとしてしまう恐ろしさ」。美しい刺繡を生業とする「わたし」の暮らす土地に、ある日旅人が訪れる。
第九夜は、「寝息」。「夜の底の黄金よ、君の寝顔は本当に変わらないから、こんな静かな晩は永遠に続く夜に閉じ込められてしまったような心持ちになるのだ」。眠り続ける「君」の呼吸に、傍らで耳をすます。
ほか、同作では10篇の「眠れない夜」をテーマにした短編を収録している。
千早茜さんと西淑さんについて
千早茜さんは、1979年北海道生まれ。幼少期をアフリカで過ごす。立命館大学文学部卒業。2008年『魚神』で第21回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。翌年、同作で第37回泉鏡花文学賞を受賞。
2013年『あとかた』で第20回島清恋愛文学賞、2021年『透明な夜の香り』で第6回渡辺淳一文学賞、2023年『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞した。『ひきなみ』『赤い月の香り』『マリエ』『グリフィスの傷』『雷と走る』、食エッセイ『わるい食べもの』シリーズなど、多数の著書がある。