◆いつまで経っても打ち合わせに姿を見せない新婦
本格的に式場での打合せがスタートするのは、約4ヶ月前からです。式場からこの新郎に連絡を入れて、打合せのスケジュールを調整するところから始まります。
そして、この電話の際に、「新婦様の情報をまだ記入いただいていませんので、お打合せの際にご記入ください」と伝えると、「その日、彼女は行けないんです」と言います。契約にはふたりの名前が揃っていなければいけませんが、申込金は払っていただいているため所定のキャンセル料はかかってしまいます。その旨を伝えても、「その次は行けると思うので……」ということで話を終えました。
初回の打合せを終え、2回目の打合せでも、新婦は来ませんでした。その時点で「?」となっていましたが、新郎は、「次回は必ず来ますので!」と予約当初よりも明らかにおかしな様子で言います。招待状の手配はしましたが、ふたりの衣装も決まっていないし、なにぶん、ふたりが揃わないので何も進めることができません。そして、式当日から1ヶ月前になって新郎から衝撃的なことを言われます。
◆一目ぼれした女性と1年半の間に結婚まであげる予定だった
「彼女は……、新婦は……、いません……」
式場に予約する前のある日、通勤電車で見かけたある女性に一目惚れをして、「自分はこの人と必ず結婚する!」と思い、式場の予約をした、とのこと。「1年半あれば、きっと彼女と付き合えるし、結婚だって……」と本当に思っていたそうです。その1年半の間にお付き合いすることはおろか、声をかけることすらできず、時間だけが過ぎて挙式当日の1ヶ月前になってしまったのでした。
当然ですが、所定のキャンセル料はかかります。1ヶ月前だとかなり高額です。見学時にディスプレイされているウェディングドレスを見て、「彼女がこれを着たらきれいだろうな……」とつぶやいた姿は、確かに少し不思議な様子でしたが、こんな高い勉強代を払う日がくるとは夢にも思っていなかったでしょう。彼は、高額なキャンセル料の請求書を見て、何を思ったのでしょうか。そこまでは私たちも知る由はありませんでした。