――これまで演じてきたことのない役だったとのことですが、タモツと一体になってみたことで、「こういう考え方もあるのか」と新鮮だったことはありますか?
間宮:タモツの中には、もともと仁義とか人情みたいなものって流れていなかったと思うんです。でも、それこそ裏社会は啖呵(たんか)を切ったりしないとやっていけない世界だと思いますし、“言霊”というか、彼自身の中にはなかったはずの言葉を口にして、既成事実として自分の中に覚悟を芽生えさせていく。みたいな感覚は、タモツを演じていてすごく感じた部分でしたね。
――間宮さん自身は、言葉に出したことによって、自分自身をそちらに向けていくことはありますか?
間宮;あまりないですね。たとえば、オーディションで本当はできないけれど「できます」と答えてしまって受かってから練習する、だとかは僕はやったことないです。逆に多少できることでも、「ほとんどできません」と言っちゃいます。
――外には出さないけれど、自分自身の内側ではメラメラ燃えているとか。
間宮:自分にできる限りのことはしたいと思いますけれど、大きく見せるようなことはないですし、自分を瞬間的に焚きつけるのではなく、「ものごとは一朝一夕ではいかないし」と粛々と進めていくタイプです。なので、タモツの自分の中になかったはずの言葉を口にしてしまってから自分のものにしていく、というのは自分にはない部分なので、面白かったです。
◆子どものころ映画を観るようになったきっかけの玉山鉄二と共演
――タモツが裏社会に足を踏み入れるきっかけとなる、九条役の玉山鉄二さんとの共演の感想を教えてください。
間宮:子どものときに、初めて「役者の芝居ってすごい!」と思ったのが、映画『手紙』で玉山鉄二さんを観たときでした。自分でいろいろな映画を観るようになったきっかけだったんです。
――そうなんですね! そのお気持ちはご本人には。